「ミラノ・ウニカ23秋冬」/日本のトレンド・コーナー復活/回復への強いシグナル発信

2022年07月15日 (金曜日)

 【ミラノ=Imago Mundi代表・両角みのり】国際生地見本市、「第35回ミラノ・ウニカ」(MU)が12~14日、イタリア・ミラノのローフィエラ会場で開催された。対象シーズンは23秋冬。日本コーナーの「ザ・ジャパン・オブザーバトリー」(JOB)が前回に引き続き設置された。何と言っても「トレンド・コーナー」が復活したのが注目だ。8社が出展し、サンプル展示のみの「JOBプラス」には7社が生地を並べた。初日は昼過ぎごろから人が集まり始め、客足が絶えない盛況ぶりだった。MU全体の出展者数は389(324社がイタリア、外国企業が65社)。

 開会式は、イタリア経済開発大臣ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏のスピーチで幕を開けた。イタリアが直面する原材料不足とエネルギーコストの上昇について触れた上で、材料と技術の開発と革新を促進するための必要なツールの提供を約束した。さらに、景気回復のシナリオをきちんと持ち、的確な投資を行うことにより競争力を維持することができると述べた。

 ベイン・カンパニーのシニア・パートナーであるクラウディア・ダルピッツィオ氏は、現在最も差し迫ったトピックスとしてサプライチェーン全体の深刻な変革について詳細な分析を行った。2021年のラグジュアリーファッションの市場規模は20年比28%増を記録し中国、米国、欧州が主導する急激な回復を果たした。全体として22年前半も回復しており、ダイナミックな米国市場とEU(欧州連合)消費に拍車が掛かっている。一方中国では、最初の数カ月の安定した成長の後、3月のゼロコロナ措置の影響を受け需要が大幅に減少。ファッション部門全体では、23年初頭にかけて新型コロナウイルス禍前のレベルに戻ると予想されている。これは、ラグジュアリー部門の23春夏の注文が既に19年レベルを上回り、予想よりも約1年早い、23年上半期からコロナ前の値に戻る売上高が予測され、テキスタイルの強力な復活の原動力となっていると述べた。

 MU代表のアレッサンドロ・バルベリス氏は、繊維部門の回復とプロセスを加速するためのツールとして見本市の有効性を強調した。メンズだけでなく、レディースのテキスタイルやアクセサリー企業が157社出展した意義を強調した。

 ホール8のメインエントランス入口から広がるトレンド&サステイナビリティーコーナーでは、視覚や触覚など感覚的な刺激を通して、季節を超えた持続可能な創造性へのコミットメントの高まりを示す幅広い生地やアクセサリーサンプルが展示された。

 幅広い提案を提示するためのキーワードは「シーズンレス」だ。三つのトレンド「シーズンレスな豊かさ」「シーズンレスな自然」「シーズンレスなフレキシビリティー」で女性へのフォーカスが表現されていた。