クラレ クラリーノ事業/量、金額共に前年超えへ/自動車内装材向けで実績

2022年07月13日 (水曜日)

 クラレは今年度(2022年12月期)に、人工皮革のクラリーノ事業で前年を上回る売上高と販売量を計画している。同事業は、新型コロナウイルス禍で20年度に苦戦したが、21年度は19年度を多少上回る業績を確保した。今年度はそれを上回ることを目指す。ただ、輸出が70~80%を占めるため、円安、原燃料高騰の影響で「利益は厳しいかもしれない」(熊野敦クラリーノ事業部長)とみる。

 環境配慮型「クラリーノ」の拡販に力を入れるとともに、自動車内装材向けを強化する。同内装材向け販売量については、1月からの5カ年経営計画を通じ「2~3倍に増やす」方針だ。

 同社は、欧米や韓国の造面メーカーに生機を供給し、車両内装材向けクラリーノを共同開発してきた。それが初めて、欧米や韓国でカーシートとして採用された。電気自動車メーカーからの引き合いが特に強いと言う。

 靴向けなどのクラリーノを生産する中国の合弁会社、ヘーシンクラレでは、4系列による年産1600万平方㍍体制を6系列・年産2800万平方㍍に増設し、一度はフル稼働へと持ち込んだ。

 その後、電力事情の悪化や上海のロックダウン(都市封鎖)の影響などで稼働率を落としたものの、21年度は過去最高の販売量を達成。今後も靴やインテリア向けを伸ばし、22~23年度にフル稼働させる。

〈エコ化率100%へ〉

 クラレは、バイオ原料使いの「クラリーノ」の開発を進めている。現在、物性などをユーザーが最終評価している。既に国内生産するクラリーノの5割を環境配慮型が占めており、「早急に100%をエコ化する」考えだ。

 クラリーノでは、環境配慮型素材として、有機溶剤を使用しないCATS製法で生産する「クラリーノ―TN」、再生ポリエステル使いの「同―SR」、再生ナイロン使いの「同―NR」を既にそろえている。