クローズアップ/東レ・オペロンテックス 取締役営業全般担当 田村 敦彦 氏/ポスコン視野にグリーンプロジェクト

2022年06月21日 (火曜日)

 東レ・オペロンテックスが繊維to繊維の水平リサイクルを通じ廃棄物の発生を抑制するため、「OPTグリーンプロジェクト」を始動させた。第1弾として、マテリアルリサイクルで生産するスパンデックス「ライクラファイバー・グリーンタイプ」の販売を下半期から開始する。リサイクルに関する取り組みを田村敦彦取締役に聞いた。

  ――ライクラファイバー・グリーンタイプを開発しました。

 当社は廃棄物の発生を最小限にとどめるには繊維to繊維の水平リサイクルが最も望ましいと考えています。ライクラ事業では、いち早く再生糸の生産技術を確立し、80年代から特定銘柄の生産に活用してきました。当時はこの技術を社外にアピールしようという発想がありませんでした。

 しかし、お客さまからの再生糸に対するニーズが年々、高まってきています。そのため、第1弾として再生原料による「ライクラファイバー」をもっと幅広い品種に広げ本格的に販売していくことにしました。

  ――具体的な生産品種や用途は。

 工場内で発生したロス糸による再生原料を数%使い再生タイプを生産しています。ほぼ全繊度の糸をそろえており、紙おむつを含む全ての用途に対応します。価格はお客さまと相談しながら決めていきます。多少、高くなる見通しです。

 10月上旬から順次、「グリーンタイプ」に置き換えていき、年明けにはほとんどが置き換わります。ご要望があれば、リサイクル原料使用証明書を提供します。早ければ23春夏から店頭にグリーンファイバー使いのアイテムが並びます。スポーツやアウトドアが先行するとみています。

  ――第2弾として検討しているのは。

 お客さまの工場で発生したロス糸、ロス生地を回収し再利用する取り組みを検討中です。しかし、それほど簡単なことではなく、越えなければならない多くのハードルがあります。お客さまと相談しながら、回収のためのスキームを作り上げていきます。

  ――プレコンシューマーだけでなくポストコンシューマーも検討しているようですが。

  例えば、パンストをある溶媒に浸せばナイロンとスパンデックスに分離させられる技術の開発に取り組んでいます。理論の上では可能なのですが、まだ実現には至っていません。東レとも相談しながら分離技術の開発を実現したいと考えています。

 リサイクルではさまざまな計画に取り組んでおり、バイオ原料によるライクラの開発も進めています。色の付いた生地をどう脱色するかも大きな課題です。