三菱ケミカルHDG/中国で負極材増設/豪州2社と覚書

2022年06月10日 (金曜日)

 三菱ケミカルホールディングスグループ(HDG)は中国のグループ会社・青島雅能都化成(写真、山東省青島)および関連会社の青島菱達化成(同)で、リチウムイオン電池向けの新規開発製品である低膨張を特徴とする天然系負極材の製造能力を現在の年産2千㌧から同1万2千㌧に増強することを決めた。負極材の供給体制について、従来の日本、中国に加えて欧米で製造・販売することを検討し始めた。

 リチウムイオン電池は世界的な環境意識の高まりから電気自動車を中心とする車載用途での需要が急速に拡大している。車載用途は年率30%近い成長が見込まれており、その主要部材である負極材も高品質かつ環境に配慮した製品の需要が増えていると言う。

 同社グループは独自開発の新技術(特許取得済み)により電池寿命に影響する膨張を抑制し、人造系黒鉛の性能を上回るグレードを新たに開発し展開している。

 このほど中国の両社で同グレードの製造ラインの能力増強を行い、2023年度前半からの本格稼働を計画する。

 一方、欧州や北米で車載用電池を現地製造する動きが活発化しており、これらの需要に対応するため黒鉛鉱山を保有する海外企業と協業することで天然黒鉛原料の安定確保、欧米での製造・販売を検討する。

 既に、豪州の2社と協業に向けた覚書を締結。同社グループの負極材製造技術と豪州の2社が採掘する黒鉛が適合するか技術評価を実施し、今後の協議内容について検討する。