再編時代の商社繊維事業 21年度決算から(4)/コロナ特需の収束見える

2022年06月03日 (金曜日)

〈衣料の素材販売は増加/田村駒〉

 田村駒の繊維部門の2022年3月期連結業績では、旧会計基準の売上高に当たる取扱高が798億円(前期比1・3%増)だった。

 このうち衣料部門は、SPAを中心とした取り組みが継続できたため、ほぼ前年並みの541億円となった。ただし、ASEAN地域でのサプライチェーンの混乱が響き利益面は苦戦した。取扱高の内訳を見ると、素材販売が91億1800万円で14・2%増えたが、製品販売は450億円で3・1%減少した。

 リビング部門は、医療特需関連商品や手芸商材の需要が落ち着いたため、10・9%減の100億円にとどまった。

 生活関連資材部門では、グループ会社と連携した家電メーカーへの販売が好調で、19・9%増の156億円となった。

 今期の同社連結業績は売上高930億円、営業利益24億円、経常利益25億円、純利益15億円を見込む。

〈糸・生地、製品OEM復調/ヤギ〉

 ヤギの22年3月期連結は、売上高が775億円(前期比0・5%減)、営業利益が11億2600万円(43・2%減)、経常利益が13億5700万円(39・9%減)、純利益が3億6600万円(75・0%減)だった。

 マテリアル事業の売上高は合繊加工糸やオーガニック綿糸の販売が好調だったことなどで6・2%増の275億円。アパレル事業の売上高は量販店向けや通販向けの受注が回復して3・9%増の351億円。ブランド・ライフスタイル事業の売上高は年間を通じて新型コロナ禍の影響を受けて不振に陥ったことやコロナ特需の消失により前期比17・5%減の161億円となった。

 経常利益はマテリアル事業で伸びたものの、アパレル、ブランド・ライフスタイル両事業は減益だった。

 当期からの会計基準変更に伴い、前期比増減率は前年同期の数値を同様の基準に置き換えたもの。

〈増収、大幅増益/クラレトレーディング〉

 クラレトレーディングの21年12月期連結決算は売上高1440億円(前期比15・7%増)、営業利益48億5200万円(34・6%増)、経常利益49億6100万円(32・7%増)、純利益34億円(28・6%増)の増収大幅増益となった。

 繊維事業は8・2%増収の413億6400万円、38・4%増益の17億500万円。ウエアラブルを大きく伸ばしたほか、アウトドア向けが順調でスポーツは増収増益。ユニフォームはほぼ前年並み。原糸販売、一般衣料向けの生地売りは減収だった。

 資材事業では、生活資材、産業資材がほぼ前年並みとなった一方、「クラリーノ」はカーシートやスポーツ用手袋向けが好調に推移。資材トータルでは増収増益を達成した。

 22年12月期については、売上高1450億円、営業利益50億円、経常利益50億円、純利益35億円を見込む。

〈医療・衛生消耗品の需要一巡/GSIクレオス〉

 GSIクレオスの22年3月期連結業績は、売上高1118億円(会計基準変更のため前期比なし)、営業利益20億800万円(前期比44・7%減)、経常利益18億8200万円(49・1%減)、純利益16億3800万円(19・1%減)だった。繊維関連事業が減益となった。

 繊維関連事業は売上高832億円、営業利益6億4500万円(77・7%減)。アジアでのインナー用機能糸・生地の取引、欧米アパレルメーカー向け生地の輸出取引は増加したが、医療・衛生消耗品は需要が一巡した。工業製品関連事業は売上高286億円、営業利益18億9300万円(32・1%増)。

 3カ年の中期経営計画の初年度である今期は、環境、生活・健康、エネルギー分野でサステイナブルな社会づくりに貢献する事業の深耕・拡大を図っていく。

(おわり)