再編時代の商社繊維事業 21年度決算から(3)/海外事業は軒並み好調/東レインターナショナル/旭化成アドバンス/東洋紡STC/ユニチカトレーディング

2022年06月02日 (木曜日)

〈衣料素材など堅調に推移/東レインターナショナル〉

 東レインターナショナルの2022年3月期決算(単体)は、売上高5701億円(前期比14・2%増)、営業利益120億円(12・4%増)、経常利益149億円(14・7%増)、純利益110億円(18・2%増)で増収増益だった。衣料素材や繊維資材・物資などの事業が拡大した。

 衣料素材の売上高は641億円で26・2%増。インテリア分野は苦戦したが、衣料用ファイバーの販売は堅調だった。繊維資材・物資の売上高は526億円で16・9%増。自動車用途や防護服用途が堅調に推移した。アパレルは大手SPA向けの受注減が響き、売上高1388億円で13・1%減少した。

 今期は中期経営課題の最終年度となる。元々中経で掲げている一貫型事業の強化と拡大をはじめとする三つの基本方針を着実に進める。

〈繊維事業けん引し増益/旭化成アドバンス〉

 旭化成アドバンスの22年3月期業績(単体)は、売上高564億円(前期比47・7%減)、営業利益17億5千万円(13・3%増)で減収ながら増益だった(会計基準変更の影響を除くと増収増益)。ファッション衣料用途を中心とする繊維事業などがけん引した。

 前期の業績を下支えしたマスクや防護服などの防疫資材は減速したが、繊維事業のスポーツ、インナー、アウター、ライニングの各用途が海外市場向け中心に回復した。海外の子会社ではタイと中国で衣料関連の需要が回復し、北米は資材用途が伸長した。

 今期はサステイナブル(環境・省人化)、メディカル・ヘルスケア(健康・安全)、車両関連などに重点を置く。サステイナブル素材の統合・冠ブランド「エコセンサー」の展開も強化する。

〈営業利益が大幅減/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは21年度から収益認識に関する会計基準を適用している。22年3月期単体決算は売上高343億円、営業利益3億7700万円(前期比58・7%減)、経常利益5億4500万円(8・1%減)となった。

 繊維部門では、スポーツアパレルの回復が遅れ気味。ユニフォームでは企業別注、備蓄向けが低調で減収となった。インナーの業績は上向き。輸出織物は円安の追い風も受け堅調に推移した。

 高機能材部門では、国内フイルムで前年並みを維持するとともに、海外フイルムでは「コスモシャインSRF」の販売を伸ばしたことで増収を達成した。

 23年3月期では、東洋紡STCが売上高135億円、営業・経常利益10億円を見込んでおり、東洋紡せんいは売上高300億円、営業・経常利益4億円の見通し。

〈繊維事業は苦戦/ユニチカトレーディング〉

 ユニチカトレーディングの22年3月期連結は売上高246億円(30・7%減)、営業損失4億円(前期は5億円の利益)、経常損失3億円(同)、純損失2億円(3億円の利益)だった。

 ユニフォームやレディス向けの販売が緩やかな回復基調へと転換。デニムの輸出も復調したが、昨年の新型コロナウイルス禍に伴う医療用ガウンの特需がなくなったため、業績が低迷した。

 グループ会社のインドネシア・ユニテックスは構造改善効果で4期ぶりの黒字に。大阪染工は厳しい状況が続いている。

 22年度は環境配慮型素材の拡販、デジタル化対応、シキボウとの協業に力を入れ業績回復を目指す。23年3月期では売上高278億円、営業利益900万円、経常利益3500万円、純利益1100万円を見込んでいる。