帝人フロンティア/新リサイクル技術を開発/繊維to繊維の実現を目指す

2022年05月19日 (木曜日)

 帝人フロンティアは18日、ポリエステル繊維の新しいケミカルリサイクル技術を開発したと発表した。新たに開発した解重合触媒を使うことで、着色されたポリエステル繊維をバージンと同等の品質に再生できる。将来的には「繊維to繊維」リサイクルの仕組み構築を目指す。

 同社はこれまでポリエステルの製造法の一つであるDMT法を活用したケミカルリサイクルを展開していた。今回開発した技術は、DMT法より工程が短いBHET法で、エネルギー使用量を約40%削減できる。排水、廃液、解重合触媒などを再利用でき、廃棄物の削減にもつながる。

 主にペットボトルからのリサイクルに使われているBHET法は、染色されたポリエステル繊維から染料や薬剤などを完全に除去できないことや、再生したポリエステル原料の変色などの課題があった。新しい解重合触媒を使うことで変色を抑制でき、バージンと同等の品質を実現できる。

 今月に月数十キロの処理能力を持つパイロットプラントを松山事業所に設置した。実証試験を進め、2~3年後に年間数万㌧の量産技術確立を目指す。パートナ―企業やコンソーシアムなどと連携して繊維to繊維のリサイクルの仕組みを構築していく考えで、衣料品の回収システムなども検討していく。

 同社は2002年からDMT法による循環型リサイクルシステム「エコサークル」の展開を始めた。しかし、17年12月に中国で廃棄物由来原料の輸出入規制が施行。リサイクル設備がある中国へ使用済みリサイクル原料を輸出できなくなり、18年に製品の回収を終了していた。その後も繊維to繊維のリサイクル技術の開発を継続してきた。