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東レ/インドでグリーン水素推進/先端材料で脱炭素にも貢献

2022年05月17日 (火曜日)

 東レは、持続可能な世界の構築を支える製品や技術の提供を目指している。その取り組みの一環として、インドで他社と提携し、グリーン水素製造のサプライチェーン(供給・調達網)を構築していく方針だ。NNAの取材で同社は、インド企業からの関心表明を歓迎する意向を示した。インド政府が掲げる高い脱炭素目標に貢献する最先端の原材料を導入していく。

 インドのモディ首相は昨年、2070年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すと発表した。脱炭素社会の実現には、資本、技術、先端材料、製造ノウハウなどが必要で、日本がインドの排出量削減に貢献できる余地がある。

 東レはインドで、グリーン水素関連事業を推進していく方針だ。日本企業や地場企業と提携して、グリーン水素を製造するための世界的なサプライチェーンを構築することを目指している。

 東レのインド代表を務める末永繁一氏は、日本貿易振興機構(ジェトロ)やインド工業連盟(CII)などが3月に主催した「日印経済フォーラム」に出席し、電解質膜を用いたグリーン水素製造事業を紹介した。

 東レは独自の「炭化水素系電解質膜」を用いた水電解の開発を進めており、「飛躍的な高効率化により、水素コストの大幅な低減に貢献できる」と言う。

 先端材料を提供するという面でインドの脱炭素社会の実現に貢献していく。同社の広報担当者はNNAに対し、近い将来、グリーンイノベーション事業に関連するより多くの製品をインドで導入する予定であると明らかにした上で、「インドでの現地生産に注力しており、多額の投資・拡張計画を立てている」と付け加えた。

 先月22日に開催した「東レ・フォーラム・インド2022」では、東レの日覺昭廣社長が、インドの持続可能な成長に貢献する東レグループの方針を示した。

 日覺氏は「貿易活動に加え、革新的な技術と先端材料で持続可能な開発に貢献するため、インド国内2カ所に工場を設立した。われわれのグリーンイノベーション事業の発展は、インド社会の持続可能性の目標に貢献するだろう」と述べている。

 東レはインド西部グジャラート州と南部アンドラプラデシュ州スリシティーに工場を持ち、紙おむつ素材「ポリプロピレン(PP)スパンボンド」、自動車や消費財産業向けの樹脂コンパウンド(エンジニアリングプラスチック)、自動車用エアバッグ基布を生産している。インド向けの環境関連製品としては、21年にエアフィルター事業を立ち上げた。インドでは毎年深刻化する大気汚染や、新型コロナウイルスの影響でエアフィルターの需要が高い。

〈カーボンニュートラルへ〉

 東レは18年に策定した「東レグループサステナビリティ・ビジョン」で、50年に温室効果ガスの排出と吸収のバランスの取れた世界などを目指すことを宣言。自社のカーボンニュートラル化を目指している。

 同社広報担当者は、「バイオマス、リサイクル、再生可能エネルギー促進、水素の使用、水の再利用に関する複数の取り組みを既に開始している」とコメント。使用済みポリエステルフィルムを回収し再利用するリサイクルシステムの構築や、二酸化炭素分離膜の創出を手掛けていると言う。[NNA]