東レ テキスタイル事業部門/高機能とサステがキーワード/22年度も拡販を計画

2022年05月17日 (火曜日)

 東レのテキスタイル事業部門は2022年度(23年3月期)、23年度からスタートさせる新中期経営課題につなげるための「さまざまな仕掛けにしっかり取り組む」(佐々木康次テキスタイル部門長)。まず、原燃料高騰を転嫁するための値上げを浸透させるとともに、好調なスポーツ素材の販売をさらに伸ばす。

 新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられていたものの、「昨年の4~6月期から回復を実感できた」と言う。スポーツ素材の国内販売、輸出が部門全体をけん引し、21年度の販売量は新型コロナ禍以前の19年度の水準を上回った。

 22年度も好調なスポーツ素材を中心に全体で10~20%の拡販を計画する。「機能性とサステイナブルがキーワードになる」とし、100%植物由来の原料で開発したナイロンの新素材「エコディアN510」を国内外に重点投入する。

 ファッション衣料でも「徐々に店頭が動きだした」。複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使して開発したシルキー調の「キナリ」、和紙のような質感の「カミフ」、髪やウールの構造をポリエステルで再構築した「キューティクル」を打ち出し戦略素材に育成する。

 部門傘下の婦人・紳士衣料事業部、機能製品事業部(ユニフォーム)、スポーツ・衣料資材事業部の相互交流を積極化させ、新規顧客・販路の開拓を急ぐ。消防服などに使われる難燃素材「ナフレム」の販路をキャンプ関連グッズなどへも広げた。

 海外では、東レインターナショナルイタリアに東レ合繊クラスターの商品群を展示するサンプルルームを開設した。そこに「新素材をどんどん送り込む」。ミラノウニカ、ミラノファッションウイークの来場者を呼び込み、高品質素材、高機能素材を売り込む。