22年3月期決算
2022年05月16日 (月曜日)
〈繊維など寄与し増収増益/東レ〉
東レの連結(IFRS)は、売上収益2兆2285億円(前期比18・3%増)、事業利益1320億円(46・3%増)、税引き前利益1203億円(83・5%増)、純利益842億円(83・9%増)で増収大幅増益を達成した。繊維事業の増収や炭素繊維複合材料事業の黒字化が奏功した。
繊維事業は売上収益8361億円(16・3%増)、事業利益421億円(15・4%増)で増収増益。衣料用途でスポーツ・アウトドア用途が好調に推移した。産業用途は、一部用途で回復したものの、自動車用途が減産の影響を受けた。
炭素繊維複合材料事業は売上収益2152億円(17・7%増)、事業利益15億8100万円(前期74億7600万円の損失)で、増収黒字転換を果たした。原料価格上昇や民間旅客機のビルドレートが減少した影響があったが、風力発電用途やスポーツ用途が伸長した。
今期の業績は売上収益2兆5千億円(12・2%増)、事業利益1400億円(6・0%増)、純利益1千億円(18・7%増)を予想している。
〈フィルムなど堅調で増収増益/東洋紡〉
東洋紡の連結は、売上高3757億円(前期比11・4%増)、営業利益284億円(6・6%増)、経常利益230億円(11・5%増)、純利益128億円(約3倍)で増収増益だった。工業用フィルムやPCR検査試薬が堅調に推移したことなどが寄与した(短信既報)。
モビリティセグメントは、売上高447億円(22・3%増)、営業損失17億5300万円(前期15億7200万円の損失)で増収ながら赤字幅が拡大した。エアバッグ用基布は原料高に対して販売価格の改定が追い付かず苦戦した。
生活・環境セグメントは売上高1142億円(4・7%増)、営業利益34億5300万円(21・1%減)で増収減益。長繊維不織布は自動車の減産や原料高の影響を受けた。スーパー繊維は釣り糸や自転車タイヤ用途などのニッチ分野の需要が堅調。衣料繊維はスポーツとユニフォーム用途の回復が遅れた。
今期の業績予想は、売上高4100億円(9・1%増)、営業利益240億円(15・6%減)、経常利益180億円(22・1%減)、純利益130億円(1・0%増)。
〈売上高が過去最高/旭化成〉
旭化成の連結は売上高2兆4613億円(前年同期比16・9%増)、営業利益2026億4700万円(17・9%増)、経常利益2120億5200万円(19・1%増)、純利益1618億8000万円(102・9%増)の増収増益となり、売上高で過去最高を更新した。
当期は売上総利益率を前期の32・3%から31・2%に悪化させたものの、増収が効いて営業増益を確保した。投資有価証券売却益265億円、固定資産処分損75億円、事業構造改善費用150億円をそれぞれ計上した。
繊維が含まれるパフォーマンスプロダクツ事業は22・7%の増収、81・4%の営業大幅増益。自動車関連市場向け製品の販売が伸びたほか、衣料繊維事業も回復へと転じた。
23年3月期は、売上高2兆7310億円、営業利益2105億円、経常利益2165億円、純利益1645億円を見込んでおり、期末配当を34円から36円に増配する。
〈繊維は原燃料高が利益圧迫/ダイワボウHD〉
ダイワボウホールディングス(HD)の連結は売上高7638億円(当期から「収益認識に関する会計基準」適用のため前期比は記載せず)、営業利益240億円(31・3%減)、経常利益245億円(31・4%減)、純利益169億円(33・9%減)だった(短信既報)。主力のITインフラ流通事業で前期にあった文教関連特需が一巡したことなどが影響した。
繊維事業は売上高582億円(4・5%減)、営業利益16億1700万円(19・7%増)だった。営業利益は不適切取引の処理の影響で低水準だった前期を上回るにとどまった。合繊・レーヨン部門は機能レーヨンなどが好調に推移したが、合繊不織布で新型コロナ特需が一服した。産業資材部門はフィルターが堅調も重布・帆布関係はイベント中止や建築工事減少で低迷した。衣料製品部門は米国向け縫製品が回復傾向も子供向けカジュアル衣料が不振だった。原燃料高騰も繊維事業全体の利益を圧迫した。
今期は連結売上高8300億円(8・7%増)、営業利益273億円(13・7%増)、経常利益275億円(12・0%増)、純利益186億円(9・5%増)を見込む。
〈大幅な増収増益/カネカ〉
カネカの連結は売上高6915億円(前期比19・8%増)、営業利益435億6200万円(58・2%増)、経常利益408億1600万円(85%増)、純利益264億8700万円(67・3%増)となった(短信既報)。
難燃アクリル「カネカロン」が含まれるクォリティオブライフソリューションズは売上高1690億円(19・9%増)、営業利益169億4200万円(59・1%増)。
アフリカ向け頭髪製品の輸出が好調だったほか、難燃資材の需要も回復基調へと転じており、同社はカネカロンの増産を検討し始めた。「カネカ生分解性ポリマー グリーンプラネット」で、約150億円を投じ生産能力を年産5千㌧から同2万㌧に引き上げる設備投資を進めている。
ホテル・コンビニなどのカトラリー用途やショッピング袋などで引き合いが急拡大している。