豊島紡績/紡績事業撤退へ/コロナによる商況悪化で

2022年04月28日 (木曜日)

 豊島グループの豊島紡績(名古屋市中区)は来年3月をめどに紡績事業から撤退する。新型コロナウイルス禍によって衣料品需要が落ち込み、今後の回復も見込みにくいことから撤退を決めた。

 同社は主にスーツやセーター向けなどの梳毛糸やトライスピン糸を製造・販売する。新型コロナ禍の影響で百貨店アパレルやスーツの需要が大きく低迷し、同社の糸販売も苦戦が続いていた。

 毛織物が主力の尾州産地では最近でこそ受注は回復傾向にあるものの、直近の2020年、21年の商況は厳しかった。山田勝之社長は「国内の紡績は厳しい状況が続いており、当社の採算も回復しなかった」と語る。

 撤退に合わせ生産工場を閉鎖し、設備の売却を進める。順次、工場の解体も行うが跡地の活用は未定。紡績事業からの撤退で同社は不動産賃貸やゴルフ場運営などが主な事業となる。

 同社によると、ある程度の規模がある梳毛紡績企業は全国で10~15社ほどという。尾州に限ると数社程度とみられる。20年には梳毛紡績のサンファインウール(愛知県一宮市)が紡績から撤退している。