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春季総合特集Ⅴ(4)/トップインタビュー/トンボ/ハイブリッド型の営業へ/社長 近藤 知之 氏/来期は攻めの経営を推進

2022年04月27日 (水曜日)

 トンボはスクールやスポーツなど各セグメントの販売が好調だったことで、2022年6月期は増収増益を見込む。新型コロナウイルス禍に対応しオンラインを活用した取り組みを推進。経費削減に加え、旧来の営業スタイルとリモート営業とを組み合わせた“ハイブリッド営業”への移行が進んできた。これらの経験を生かし、来期は攻勢に転じる。

  ――ウイズコロナ時代の成長の要件は何でしょう。

 新型コロナ禍は何に経費を使うのが得策かということを考える良い機会となりました。ウェブ回線などを整備、強化することで削る費目も明確になりましたね。

 撮影スタジオの設置やリモート会議の導入、スマートフォンのAI(人工知能)採寸アプリを活用することで経費の大幅削減ができました。

 新しい試みとしては商品の品質向上を目的に、提携を結ぶイタリア・ミラノの服飾学校「イスティテュート・セコリ」の指導による設計やパターンの講義を6カ月にわたりリモートで行いました。ここでは31人の社員が教育課程を修了することができました。

 営業部門では今後、従来の人海戦術を中心としたアナログな営業と、リモート営業とを組み合わせたハイブリッド型の営業へと早く移行していくことが必要です。販売面でも、来期にEC事業本部を立ち上げ、ECのウエートを高めていきます。

  ――今入学商戦の状況は。

 スクールでは200校を超えるモデルチェンジ校を獲得できました。スポーツでも、クラブ対応やマーチングも含めて200校超の新規物件を獲得でき、ともに増収を見込んでいます。性的少数者(LGBTQ)への配慮の流れから、中学校を中心にブレザー化が進んだこともあり、詰め襟学生服や女子制服などの店頭商品が減り別注商品が増えました。さらに、新型コロナ禍による学級閉鎖の影響もあり、売り上げが3月に極度に集中したことも影響しました。受注処理の漏れにより、標準服を代用品で納品した学校があり、今後さらに受注、納品体制を見直します。

 ヘルスケア事業ではニット病衣が大幅に売り上げを伸ばしています。「ヨネックス」ブランドも前年に比べて2割増となり、増収基調です。

  ――今期の見通しは。

 現状は子会社の瀧本も含め、学生服、スポーツ、ヘルスケアともに増収増益を見込んでいます。

  ――今期は中期3カ年計画の最終年度です。

 2年目の前期に目標の400億円を達成しました。現在、売上高420億円を目標に進捗管理を行っています。

 7月から売上高460億円を目標とする3カ年計画を新たにスタートさせます。そのためにはECの比重を高めることとヘルスケアの拡大が必須です。当社は新型コロナ禍の中でも増収増益でした。来期は攻めの経営をしていきます。

  ――設備投資の計画は。

 茨城県笠間市の物流倉庫が来年7月に完成予定です。スポーツでは昇華転写が増えていることから、美咲工場(岡山県美咲町)にCAM(自動裁断機)を1台増設し、計8台体制で生産していきます。

  ――原料価格が高騰しています。

 ロシアのウクライナ侵攻などの影響で原材料や仕入れ商品の値上がりは続くでしょう。一昨年の材料値上げについては、まだ完全に転嫁できておらず、今後さらに採算面が悪化することが予測されます。ただ、商品の価格は上限に近く、さらなる値上げ交渉は難しいのが現状。全体的なコストダウンを実施するために素材の置き換えはもちろん、営業の仕事のAI化を早急に進めていきます。

  ――世界的にサステイナビリティー経営が重視されています。

 コーポレートスローガンの「人と自然を大切にした価値ある製品づくり」に基づき、サステイナブル経営を推進しています。一般社団法人全国専門能力検定協会SDGs認定機構の検定を終了した14人の社員に「SDGsマイスター」という称号を授与し、啓もう活動につなげています。

 当社の環境配慮型の製品の比率は現状52%ほど。これを30年に65%、50年には100%にまで高めることを目標に掲げています。

〈春を感じる時/新入社員へのメッセージ〉

 トンボには今春、約30人の新入社員が入社した。近藤さんは毎年入社式であいさつをするが、併せて「ようこそトンボへ」というテーマで1時間講演するのが毎年の恒例行事だ。「この講演の台本作りをしていると、また春が来たなと感じる」と話す。「あいさつだけならすぐに考えられるが、1時間の講義となると難しい」と、台本作りには時間を要する。「ベースとなるストーリーはあるが、考えるのが毎年大変」と笑う。

〈略歴〉

 こんどう・ともゆき 1980年テイコク(現トンボ)入社。99年営業統括本部販売統括部長、2001年取締役営業統括第一本部長。03年常務、10年専務を経て12年9月から社長。