開発最前線2022 紡績のイチ押し素材(中)/大和紡績/原料変更でサステと機能両立

2022年04月13日 (水曜日)

 大和紡績は鞘に綿、芯にポリエステル短繊維を配置した複合紡績糸「ツインレット」を打ち出している。従来の複合紡績糸の原料を変更することでサステイナビリティーと機能性を両立した糸として採用に向けた動きが加速する。

 同社はこれまでも鞘に綿、芯にポリエステル短繊維を配した複合紡績糸「セルピー」を生産販売し、豊富な実績がある。このほどセルピーの技術をベースに、原料を変更してツインレットを開発した。綿にはサステイナブルな科学的農法で栽培される米綿の印である「コットンUSA」認証の原綿、ポリエステルは再生ポリエステルを採用した。綿の風合いと速乾性などを併せ持つ機能性と、サステイナブル素材としての要素を両立している。

 22秋冬向けから提案を開始したところアパレルからの評価は高く、スエットやTシャツ向けで採用が進む。番手や撚り係数にも幅広いバリエーションを持たせたことも高い評価につながっているようだ。

 ポリエステルの一部をカチオン可染ポリエステルにすることで杢(もく)調も表現できる。ここに来てカジュアルやスポーツで杢調のトレンドが強まっている。こうしたファッション性のニーズにも対応できる。その他、スラブ糸タイプの開発も進めている。

 近年、世界的にサステイナビリティーへの要求が強まる中、アパレルもサステイナブル素材の使用に切り替える動きが一段と強まった。こうした流れを受けて、ツインレットが採用されるケースが増えている。

 同社では幅広い用途へ提案を進めており、販売も多様な形態で行う。学販体育衣料向けでは糸で販売を進め、インナーやカジュアル衣料用途は製品OEMでの供給に取り組む。

 ツインレットのほかにもサステイナブル素材を拡充している。2月には東京でサステイナブル素材に焦点を当てた展示会も開催した。特に天然由来加工を充実させており、グレープフルーツ由来抗菌加工「シトラスガード」やシルクフィブロインを活用した保湿加工「アミノモイスト」などが注目を集めた。

 天然素材である綿を扱う紡績企業は、従来からサステイナブル素材を得意としてきた。こうした強みに紡績技術や加工技術、そして環境配慮型合繊を活用することで、天然繊維にプラス・アルファの機能を持たせ、新たな市場の要請に応える。