勃興するセレクトショップ~中国“下沈市場”をゆく~(1)/コロナ禍前後から百花繚乱

2022年03月15日 (火曜日)

 中国の“下沈市場”(3級都市以下の地方都市)で、セレクトショップが売り上げを伸ばしている。新型コロナウイルス禍の前後から百花繚乱の様相を呈する。成長の源泉は、地域経済のアップグレードやオンラインの活用だ。本連載では、下沈市場と各ショップの動向を伝える。(上海支局)

 「地方のセレクトショップでの販売が伸びている」と話すのは、福建省アモイ市でデザイナー集団「CHNNYU STUDIO」を主宰する陳宇デザイナーだ。デザイナーズブランドの営業代行業を手掛けるダダショーの創業者、葉琪崢氏も「最近は地方都市の販売が好調」と指摘する。

 下沈市場では、2018年ごろからセレクトショップが増え始めた。卸売市場で仕入れる製品を扱うブティックと、大手ブランドの加盟店の多くが、この時期にセレクトショップに業態シフトした。

 成功しているのは前者だ。オーナーがファッションリーダーとして地域で認知され、優良顧客を囲い込んでいる。店舗は店名ではなく、「CICIの店」などとオーナーの名前や愛称で呼ばれる。

 こうしたショップは地域の消費のアップグレードに合わせ、取り扱い商品を変えてきた。「(十数年前の)開店当初は、杭州や深センの市場で製品を買い付けた。それからしばらくすると韓国・東大門や香港に足を伸ばした。香港では欧州のラグジュアリーブランドを仕入れた」と、「TASTE」(浙江省嘉善県)のオーナーは振り返る。

 市場物は10年以上前まではよく売れたが、その後類似品を販売するネット通販などの競合が増え、苦しくなっていった。そこで目を付けたのがデザイナーズブランドだった。1点数百元の市場物から、千元から数万元もするデザイナーズブランドに入れ替えるのは簡単ではないと思われるが、「多くのお得意さんがついてきてくれた」と「BAIFENBAI」(嘉善県)のオーナーは話す。

 新型コロナウイルス禍を機に、市場物から完全に足を洗い、デザイナーズブランドに特化したところが多い。メイン商品は地場ブランドで、次いで韓国ブランド。地場ブランドは「SHUSHU/TONG」と「MINGMA」、韓国ブランドは「pushBUTTON」や「Romanchic」が売れ筋だ。欧州ブランドは、新型コロナ禍後、納期や生産が混乱し、取り扱うショップが激減した。

 「地場ブランドが人気なのは、追加発注に対応していることが大きい」と浙江省温州市の「JUNESHAN」の創業者は明かす。韓国ブランドも「1週間から1カ月で納品される」(TASTEのオーナー)と言う。

 日本ブランドの存在感は薄い。理由は、納期対応ができないからだけでない。小売価格が日本国内のみを意識した設定で「(中国のショップにとって)売りがいがない」ことや「デザインがガラパゴスで、中国の消費者に受けない」(デザイナーズブランドの営業代行業関係者)ことがある。