クラボウとバイセル/中古着物から再生糸/「ループラス」活用

2022年03月15日 (火曜日)

 クラボウと着物・ブランド品等リユース事業を運営するBuySellTechnologies(以下、バイセル)は、汚れや破損によって着用できなくなった中古着物をシルク原料に戻し、ニット製品やデニム製品にアップサイクルする再生素材「サイシルク」を共同企画した。クラボウのアップサイクルシステム「ループラス」を活用したもので、既にデザイナーブランドに採用されるなど注目が高まる。

 総合リユースサービスを展開するバイセルは現在、年間100万枚以上の中古着物を家庭から買い取り、リユース品として販売するほか、汚れや破損で中古着物として再利用できないものはリメーク用生地として国内外に販売している。近年、買い取り量が増加している上に、新型コロナウイルス禍の影響で海外への販売が難しくなっていた。

 こうした中、クラボウのアップサイクルシステム、ループラスに着目し、共同企画としてサイシルクが生まれた。バイセルが買い取った着物の中から、再利用できない絹100%中古着物を色柄や金銀糸の有無などで選別して供給。これをクラボウが開繊・反毛して糸に戻す。着物に使用される絹糸は長繊維のため開繊・反毛の技術的難易度が高いが、その技術をクラボウが確立した。

 サイシルクは、原料となる着物の色や金銀糸が生かされるため、光沢など独特の素材感がある。オーガニックコットンや再生セルロース繊維など環境に配慮した天然由来原料を複合することも可能で、循環型社会の実現に貢献するサステイナブル素材となる。

 既に砂川卓也デザイナーのブランド「ミスターイット」が22秋冬コレクションでサイシルクを採用した。サイシルクを岡山県でデニムに製織し、ボトムス、シャツ、ワンピースに使った。

 両社は今後、それぞれのネットワークを生かしてサイシルクの普及を進め、循環型社会の実現に貢献することを目指す。