新たなステージへ 素材メーカー系商社のいま(5)/東レインターナショナル/SCの整備・再構築進める

2022年03月11日 (金曜日)

 東レインターナショナルのアパレル部門は、中期経営課題の最終を迎える2022年度(23年3月期)の基本方針として、サプライチェーン(SC)の構築や商品開発の強化などを掲げる。これらの施策を着実に実行することで21年度を上回る売上高と利益を確保し、次期中経につなげる。

 合繊メーカー系商社は、新型コロナウイルス禍の影響から逃れることができていない。同社アパレル部門も同様ではあるが、スポーツ関連が増収増益で堅調に推移しているのをはじめ、21年度は改善の方向に進んでいる。こうした流れの中、22年度は成長に期待をかける。

 来年度はSCの再構築に取り組む。ASEAN地域では、新型コロナ禍でロックダウン(都市封鎖)が行われるなど混乱が生じ、生産場の中国回帰も一部で見られた。持続可能な縫製(生産)拠点をしっかりと作ることは合繊メーカー系商社の役割の一つと捉えており、生産体制を整える。

 その中心に据えるのがベトナムだ。これまでのように協力工場の整備・活用だけでなく、自家工場を立ち上げて来年度中の稼働を目指す。東レの最先端素材を使用したスポーツ衣料などの生産を行い、「欧米の顧客や市場向けのマザー工場」に育成する。新しい拠点を基軸にSCの充実を図っていく。

 商品開発にも東レのサステイナブル素材や機能素材を活用する。サステイナビリティーに関連する商品では、東レの事業ブランド「&+」(アンドプラス)を幅広く展開する。独自商品では高耐候レインウエア「トレイン」、ストレッチ中わたの「スリーディーエフエックスプラス」などの拡販を狙う。

 トレインは、サステイナビリティーの観点でも訴求を強化している。一般的なレインウエアは防水膜が加水分解によって劣化するため3年程度しか着用できないといわれる。トレインは特殊樹脂による防水膜と高耐久目止めテープ、目止め技術などを駆使して10年という長寿命化に成功している。

 販売面では海外市場での拡販に力を入れる。ハイエンドのスポーツやアウトドア関連などの深耕に取り組むが、新型コロナ禍に伴うSCの見直しなどから「米国の顧客が東レインターナショナルに目を向けているので期待度も高まっている」と強調する。海外販売は、22年度はもちろん、次期中経でも伸ばす。