新たなステージへ 素材メーカー系商社のいま(3)/東洋紡STC/中東輸出で製品OEM模索

2022年03月09日 (水曜日)

 東洋紡STCは繊維事業を東洋紡ユニプロダクツと統合し、4月1日から新会社・東洋紡せんいとしてスタートさせる。新会社の社長には東洋紡STCの清水栄一社長が就任する。

 再出発を前に生産体制にメスを入れスリム化を実施した。国内生産拠点である富山事業所の井波工場、入善工場での生産を停止。両工場の機能を庄川工場に集約し生産の効率化を図る。庄川工場をマザー工場に位置付け、マレーシアの生産拠点も活用する国内外一体運営に取り組む。

 営業面においては、自社の強みに位置付ける中東輸出、スクールにヒト・モノ・カネを重点的に配分し、衣料繊維事業へのてこ入れを強化。「利益を出せる筋肉質な事業体質へ転換する」とともに、2022年度からの黒字浮上を計画する。

 中東輸出では、長年の取り組みで培ったブランド力、顧客からの信頼を打ち出し、今後も民族衣装の頂点ゾーンをターゲットとする生地売りを主力に展開しながら、一つ下の三国品のゾーンにも着目しており、「製品OEMで参入し新規顧客を開拓できないか」を今後、検討する。

 スクールでは、学校体育衣料(ニット)が主力だった東洋紡STCに四大スクールアパレルへの太いパイプを構築する東洋紡ユニプロダクツが合体することで得られる相乗効果に期待を示しており、総合力を発揮させることで今後の拡販につなげていく。

 東洋紡STCはこれまでポリエステル綿混など短繊維織物を主力にユニフォーム素材を展開してきた。しかし、最近の市場ニーズは長繊維やニットに移りつつあり、今後は長繊維使いやニットの開発・販促を強化するとともに、ペットボトル再生ポリエステル「エコールクラブ」に代表される環境配慮型の企画を充実させる。

 スポーツでは、生地売りで伸ばすゾーンと製品OEMで伸ばすゾーンとでメリハリを付けた運営を徹底するとともに、インドネシアに構える編み・染め工場、縫製工場をリンクさせた生地から製品に至る一貫生産体制を駆使し、製品OEMを強化する。グローバルなスポーツ市場をにらみ販売を拡大する戦略の検討にも着手した。

 インナー・肌着を主力とするマテリアル事業。わた、糸での商売に特化するとともに、非衣料向けの拡大を計画しており、サステナブルマテリアル展への継続出展を通じ「不織布分野を開拓したい」考えだ。