ユニチカのUTID/現地で多彩な糸・生地/グループ連携を強化

2022年03月08日 (火曜日)

 ユニチカグループのユニチカトレーディングインドネシア(UTID、ジャカルタ)が、供給できる糸・生地のバリエーションを増やしている。

 同社は、同じグループでインドネシアの紡績会社、ユニテックス(西ジャワ州ボゴール)と連携し、機能糸「パルパー」を中心に取り扱う素材を増やしてきた。近年、ユニチカトレーディング(UTC)で調達する機能糸を使った生地の品ぞろえも充実させている。

 高遮熱クーリング機能の「こかげマックス」、蓄熱保温機能の「サーモトロン」、吸放湿ナイロン「ハイグラ」といった機能糸をUTCグループで調達し、インドネシアで生地にしてベトナムなどの日系縫製工場や現地アパレルに供給する。

 最近ではユニテックスが、パルパーに再生ポリエステルを使った商材を開発したり、工場として環境認証を取得したりするなど、“環境”という付加価値に焦点を当てた商材を増やしていることから、こうした環境関連の糸・生地のラインアップも増やす。

 商社の強みを生かし、多様な糸・生地をそろえ、コストメリットを持たせた形でインドネシアから取引先に供給できる体制をアピールし新たな顧客開拓につなげる。日本のスポーツブランドや企業ユニフォーム用途、学校スポーツウエア用途、現地のユニフォーム、シャツアパレル用途での新たな顧客開拓に力を入れる。

 今期はインドネシアで糸、生地、縫製まで一貫して行う製品OEMビジネスも構想する。まずはユニテックスのパルパーを使って、現地でスポーツウエアやユニフォームの縫製まで行う。23年に向けて産業資材用途に向けた素材開発にも取り組む。

〈設立以来初の経常黒字に〉

 UTIDの2021年12月期の経常利益が14年の法人設立から初めて黒字となった。

 ユニチカグループの構造改革の一環で20年10月に、ユニテックスから先染め織物事業を引き受け、製織や加工を現地企業に委託することで益率を改善させたことに加え、現地アパレルやユニフォーム向けの生地販売が堅調に推移したことが利益に貢献した。

 今期も新型コロナウイルス禍で世界的にアパレルビジネスの先行きが不透明な状況が続くが、UTIDが扱う現地アパレル向けのシャツ用先染め織物や日本向けスポーツウエア用ニット地の目先の動きは底堅く推移している。