クラボウインターナショナル/新規事業創出に力/収益力改善もテーマ

2022年03月02日 (水曜日)

 カジュアル衣料やユニフォームのOEM/ODMを主要事業とするクラボウインターナショナルは新中期経営計画初年度となる来期(2023年3月期)の重点方針に、新規事業の創出と既存事業の収益力改善を掲げる。

 西澤厚彦社長によると、今期も新規事業の売り上げは順調に拡大している。専任担当者を配置して取り組んだことが奏功した。例えば、取り扱いを開始したアフリカ綿がその一つ。トレーサビリティーの確保と現地の貧困解消というSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する点が評価され、売り上げが伸びている。

 来期以降は市況回復に期待しつつ、「消費者をわくわくさせるような商品を開発し、社会に役立つ企業であることを意識した新しいビジネスを作っていく」。

 既存事業では収益力の改善に力を注ぐ。小口化、短納期化の流れが強まり、原材料費や物流費など各種経費が高騰していることで「従来の体制では利益が出せない」との危機感がある。

 前期から今期にかけて、新型コロナウイルス禍により中国やASEAN地域の協力工場とリモートでやりとりする機会が増えた。これによりデジタル化が進展し、ナショナルスタッフの主体性とスキルも向上した。これら要素を含んだ新たな品質管理システムを構築中という。新システムの運用により生産の効率化を図り、収益力改善につなげる。

 販売戦略としては、中国を中心としたアジア各国で内販拡大に取り組みつつ、欧米向けにも挑戦していく。

〈“先行投資”で減益に/22年3月期〉

 クラボウインターナショナルの22年3月期は、前期比減収減益になる見込みだ。

 新型コロナ禍で主力のカジュアル衣料やユニフォームの受注が苦戦した。減益には原材料費や原油価格の高騰、コンテナ不足による物流経費の上昇などが影響した。市況回復をにらんで商品開発に資金を投入したことも減益要因だが、この部分については「必要な先行投資」(西澤厚彦社長)と捉えている。

 来期は22年3月期比増収増益を計画する。