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特集 小学生服(5)/有力学生服・素材メーカー/ニーズ捉え、市場を開拓/菅公学生服/トンボ/明石SUC/オゴー産業/東レ/ニッケ

2022年02月17日 (木曜日)

 有力学生服、素材メーカーは、着やすさや機能性、イージーケア性など、着用者や保護者のニーズを捉えた商品で市場を開拓している。制服だけに限定せず、教育支援などのサービスも提案しながら小学生服の市場で存在感を高める。

〈菅公学生服/学校のフィールドをビジネスの起点に〉

 菅公学生服は、主力ブランドの「カンコータフウォッシュ」などの販売が引き続き堅調に推移する。学生服の提案と併せて教育支援も推進。曽山紀浩取締役は「制服だけでなく、学校のフィールドをビジネスの起点として取り組んでいきたい」と話す。

 カンコータフウォッシュは洗濯を繰り返しても劣化しにくい洗濯耐久性に加え、素材や縫製などでしっかりとした商品に仕上げている点が高い評価を得る。曽山取締役は「古い商品からの移行を含めて販売が伸びている」と説明する。今後も引き続き同商品の販売を推進。新商品の開発にも取り組み、支持される商品は定番化していく。

 教育支援につながる取り組みにも注力する。昨年はカンコーショップ岡山で、制服の製造工程で発生する残反を使ってエコグッズを作るワークショップを開催。グッズの制作に加え、SDGs(持続可能な開発目標)について学ぶ場を設けた。

 新型コロナウイルス禍でリアルイベントが開きにくい中、ネットを活用した取り組みも行う。昨年9月からはオンライン工場見学として、倉敷工場の様子を撮影した動画を配信。全国の小学校向けに教材として提供する。昨夏には夏休みの自由研究のアイデアを募集し、集まった1300件のテーマをウェブ上で公開するなど、さまざまな観点からサポートを行っている。

〈トンボ/改めて機能性訴求〉

 トンボは、2022年の入学商戦に向けて受注は堅調で、新規物件も例年並みを確保する。小学生服では「トンボ」ブランドの商品の評価が高く、販売数を順調に伸ばしている。

 店頭向けの「トンボジョイ」、小中一貫校向けの「トンボプライマリー」は、サイズ調整機能や伸縮性による着心地の良さから、販売数が伸長。今後もウエアの機能性とともに、従来から兼ね備える洗濯耐久性などについても改めて訴求しながら拡販する。

 動きやすさやイージーケアへのニーズが高まる中、19年に発売した「汚れが落ちやすいスクールポロシャツ」は販売が前年比30%増となるなど好調だ。小学生は中高生に比べて服を汚しやすい。ノーアイロン、ストレッチ性といった織物にない付加価値に加えて、防汚・抗菌機能を備えている点が評価されている。新型コロナウイルス禍で需要の高まる、抗菌・抗ウイルス加工の商材も現在開発中で、ニーズを捉えた企画によって販路拡大につなげる。

 今上半期(21年7~12月)の小学生服の売上高は前年同期比で8・4%減だが、新型コロナの感染拡大によって買い替え需要がずれ込んだ影響によるもの。実質的には例年並みに戻った。変異株による第6波など先行きが不透明な状況が続いているが、今期売上高は前期並みを見通す。

〈明石SUC/認知度と機能性で評価〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(SUC)は、主力ブランド「富士ヨット小学生服」や人形玩具の「リカちゃん」をモチーフとする女子学生服「リカ富士ヨット」などの販売が堅調だ。ニットの給食着や抗ウイルス加工を施したウエアなども販売を増やしており、2022年の入学商戦に向けても部門売上高は増収基調で推移する。

 富士ヨット小学生服やリカ富士ヨットはブランドの認知度に加え、耐久性など機能性の高さから安定した受注がある。営業本部の江藤貴博スクール第一販売部長は「安易に安かろう悪かろうに行かず、品質の良い商品を買う意識が広がっている」と指摘する。

 給食着も販売量が伸びる。近年は給食着を生徒間で使いまわすのではなく、個人が購入するケースが増加。これによって、従来の織物製に比べてイージーケア性の高いニット製の給食着の販売量が増えつつある。

 ニット製シャツ「ラクポロ」も好評。新型コロナウイルス禍で衛生意識が高まる中、多機能型触媒を使用した「ティオティオプレミアム」加工で抗菌や消臭機能を付与したウエアも堅調に売り上げを伸ばしている。

 性的少数者(LGBTQ)への配慮で、中学校で制服のブレザー化が加速している。小学校ではまだ目立った動きはないが、江藤スクール第一販売部長は「今後を見据え、策を考えていく必要がある」と話す。

〈オゴー産業/小学校向けに多くの引き出し〉

 オゴー産業(岡山県倉敷市)は定番商品に加え、安心安全を軸にした小学生服「プレセーブ」や、地域の安全な環境作りにつなげる「全国地域安全マップコンテスト」など、総合力を生かした提案で市場を開拓している。

 2022年の入学商戦に向けては、定番商品の販売が堅調なほか、「小学校の統廃合への対応もしっかりとできている」(片山一昌取締役)ことで、採用は増加傾向で推移する。

 制服では子供たちの安心安全をテーマに開発を推進。セコムと共同開発し、05年から販売する、GPS装着に対応した学生服のプレセーブではこのほど、機能をブラッシュアップさせた「プレセーブV」を開発した。

 抗ウイルス機能を付与したとともに、左右どちらでも前にして着ることのできる四つボタンとファスナー開きの仕様をそろえ、性的少数者(LGBTQ)にも配慮した。同商品は21年度の「第15回キッズデザイン賞」を受賞。現在は私学を中心に提案を強化している。

 子供の危険回避能力の向上と地域の安全な環境づくりにつなげる、全国地域安全マップコンテストの取り組みでは学校との接点が増えつつある。このほか、文具メーカーのサクラクレパス(大阪市中央区)とのコラボレーション商品の発信も強化。片山取締役は「小学校向けに対する提案の引き出しの多さが評価されている」と話す。

〈東レ/合繊100%の強み生かす〉

 東レは小学生服に向けてポリエステル100%梳毛調織物「マニフィーレ」を積極的に打ち出し、合繊100%の強みを生かす。

 同社の小学生服向け生地販売は2021年度(22年3月期)も売上高が前年度比増で推移する。19年度と比べると大幅な増加となっている。小中一貫校のブレザータイプの制服で採用が拡大した。新型コロナウイルス禍で制服の家庭洗濯ニーズが高まったことも合繊にとって追い風となっている。

 このため23年入学商戦に向けてもマニフィーレを重点提案する。小学生服に求められる耐久性やイージーケア性を打ち出すことで、合繊の優位性を強みにする。安全性にも焦点を当て、再帰反射材や蛍光染色など高視認素材の活用にも取り組む。

 一方、小学生服素材の拡販には制服導入校の増加など市場全体の成長が欠かせない。このため小学生服分野でも、制服の「安全性」「耐久性」「ランニングコストが抑えられる」など「制服の価値」に対する情報発信にも取り組みたいとする。

 同社は既にオンライン展示会などを積極的に実施しており、こうした実績を生かしてインターネットなども活用したプロモーションに力を入れ、小学生服の市場拡大に取り組む。

〈ニッケ/持続可能性打ち出す〉

 ニッケは、ニッケ教育研究所の調査・研究成果も活用しながら、小学生服のサステイナビリティーを打ち出すことで小学生服導入の機運を高めることに取り組む。

 近年、学校教育現場でもサステイナビリティーについて学習する機会が増えている。こうした動きに向けて学校在籍期間中、長く着用する制服は基本的にサステイナブルなものであることを打ち出し、学習にも活用してもらうなど制服の教育資材としての側面を生かす。

 その中でウールの耐久性、汚れや臭いに強いといった機能性も前面に出すことで、小学生服でもウールの強みを生かした素材開発・提案に取り組む。

 2019年に一般社団法人として設立したニッケ教育研究所が学校運営への支援や制服の機能に関する科学的調査・研究を進めている。その成果も紹介することで、小学生服導入の機運を高めていく。既に東京の公立小学校にニッケ教育研究所の取り組みを紹介し、制服の導入につながるなど成果も出ている。

 こうした取り組みを学校、学生服アパレルなどユニフォーム業界全体に発信することで小学生服の導入拡大をサポートすることに取り組む。