特集 オフィス&サービスウエア22春夏(4)/トップに聞く/2022年展望/KAZEN WLD/明石スクールユニフォームカンパニー/アルトコーポレーション/ガードナー/エムズ/サンリッチモード

2022年01月31日 (月曜日)

〈KAZEN WLD 商品企画部長兼生産管理部長 江口 公英 氏/サービスウエア盛り返し図る〉

 2021年12月期のグループ全体の売り上げは、前期比微増になりそうだ。サービスウエア分野は食品加工場向けウエアが検討したものの、飲食店向けが新型コロナウイルス禍による営業自粛などの影響を受けたことで前年並みと苦戦した。

 しかし、昨秋の緊急事態宣言解除以降はサービスウエアの需要が急回復している。今期はサービスウエアで盛り返しを図り、メディカルウエアで着実な成長を目指す。

 一方で懸念材料として挙げるのがコスト増。原材料はじめ、人件費、輸送費などの高騰を受け製品の値上げを検討している。昨夏のベトナムでのロックダウン(都市封鎖)により、生産、輸送面で影響を受けた。

 デジタル採寸導入は費用対効果も踏まえ引き続き導入を検討中。埼玉県久喜市内の物流倉庫の拡張は23年度の完工を目指している。

〈明石スクールユニフォームカンパニー アクティブチャレンジ部 企画担当部長 浅沼 由佳 氏/「ルコック」ブランドが堅調〉

 2021年12月期は新型コロナウイルスの影響を受けたが、メディカルやケア(介護)の販売が堅調だったことで、前年並みの売上高を確保できた。

 メディカル・ケア向けの「ルコックスポルティフ」ブランドの販売が堅調。ケア向けでは既存のリピート注文が増え、前期比で数%の増収となった。

 メディカル向けでは、ハイストレッチのスクラブが男女兼用で幅広い年齢層にも対応できる点などが支持された。軽量で、防透性を備える「シルキートリコット」使いのウエアも引き合いが増えた。メディカル全体では、前期比2桁%の増収となった。

 22春夏では、ダブルマスターの手法を採用し、幅広い体型をカバーできる、シルキートリコット使いのニット白衣が好評だ。対面での営業活動も解除されてきており、今期は動いていきたい。

〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/原点回帰で強み発揮〉

 2022年2月期決算は売り上げで前年比10%増を見込んでいる。コストダウンの断行や不採算事業の縮小、経費圧縮、採算の取れる事業に集約するなどの施策を行ったため経常利益は大幅増となる見込み。

 新型コロナウイルス禍による社会情勢の不安定さが続き、足元のインフラ関連費用の高騰による原材料費のコストアップもあり、来年度の価格アップは避けられないとみる。これらの要因からユーザーの消費マインド冷え込みを最大の懸念材料とする。

 オフィス&サービス向けについてもこうした不安定要因に左右されないよう原点回帰し、ベーシックで安定的に供給できる商売に当面力を入れていくことで強みを発揮していく。その上で企画と商品開発を進め、アフターコロナを見据えた販売戦略を打ち出していく。

〈ガードナー 社長 矢澤 崇 氏/防塵衣で暑さ対策品投入〉

 3カ年の中期経営計画初年度に当たる2021年12月期は、前期売上高約37億円を若干上回る見通し。上半期までは予算達成し順調に推移していたが、7月中旬以降生産地でもあるベトナムのロックダウン(都市封鎖)が2カ月余りにわたって続き、納期遅れなどの影響が出た。

 今期は主力の防塵(じん)衣、食品工場向けウエアで通気性を高めて暑さ対策を施した新商品を投入予定。既製品の強化と併せて増収を図る。一方で、原材料や輸送費、人件費の高騰による影響を懸念。価格改定についても検討していく。

 ユニフォームが売り上げ全体に占める割合は現在65~70%だが、80%にまで引き上げることを目標に据え、23年12月期売上高で40億円超えを目指す。グループ会社のアプロンアパレルとは、素材調達などの面で共有化を図っていく方針。

〈エムズ 副社長 速水 啓太郎 氏/新たな市場開拓に注力〉

 新型コロナウイルス禍で主力商品の顧客でもあるホテル、飲食業界が苦戦する中、商材開発などで打開を図る。

 今春、ゴルフキャディーに特化したウエアカタログを新たに発刊する。ゴルフブームでにぎわうクラブハウスでの需要を見込む。窓口やレストランスタッフ、クリーニングサービスと合わせたトータル提案で開拓する。

 構想段階としながらも、ユニフォーム業界で得られた機能性や提案力などのノウハウを生かしたB2Cへの参入やB2B向けECサイトの構築なども視野に入れる。

 強みとする直販営業では2022年6月期中に新たなサービスウエアカタログを投入。ユニフォーム部門の売り上げ目標は、4割を占めるレンタル事業と合わせて前期売上高41億2500万円に対して微増を掲げる。上半期は順調に推移しており、これから年度末に向けてが勝負になる。

〈サンリッチモード 社長 武田 一光 氏/生産キャパ確保が課題〉

 2022年3月期は、過去最高益を達成した前期の反動や、主力工場のあるベトナムでのロックダウン(都市封鎖)による生産、納期への影響で減収減益の見通し。

 利益面重視の経営方針に変わりはないが、新型コロナウイルス禍において生産や物流をはじめ、さまざまな面で進むコスト増への対応に追われる。主力のユニフォーム分野では、23年以降の別注案件数が増えており、生産キャパシティーの確保は目下の課題だ。

 東レグループで取り組むライフイノベーション事業は売り上げの2割ほどを占める。使い切り高機能保護服「リブモア」は品種が増えたことでレパートリーが広がり売りやすくなった。この他、機能素材「ヒトエ」や介護用スライディングシート「トレイージー」、腰部サポートパンツ「腰囲周当」など、好調な商品群をそろえており、今後の成長分野として期待を寄せる。