反転への誓い JFWーJC&PTJレビュー(7)/散りばめられるサステ要素

2021年12月24日 (金曜日)

 豊島は今回のPTJで、廃棄予定の食材を染料に活用するプロジェクト「フードテキスタイル」を幅広い用途に向けて提案した。アパレル関連では既に認知度が高まり、有名ブランドの採用も多い。靴や雑貨でも実績を着実に積み上げている。エシカル(倫理的な)ファッションの普及を支える手段の一つとして定着しつつある。

 インテリア業界からカーテンなどの引き合いも増えている。ライフスタイル全般に向けた繊維ビジネスを推進する同社にとっても、事業領域を広げる機会となる。用途拡大に伴う需要増に対応するため、国内で染色を担う協力工場の開拓を進めている。

 ジンジャーやセンブリなどトップ糸の新色を追加し、色使いのバリエーションを増やした。淡色から深みのある色を出せる強みも訴求した。

 エンブロイダリーレースなどを販売する溝呂木(東京都中央区)は、12回目のPTJ出展。環境負荷低減への取り組みが不可欠となる中、今回はラッセルレースのサステイナブルコーナーを設けた。コーナーに足を止める来場者は多く、関心の高さを示した。

 サステイナブル対応では再生ポリエステル100%タイプなどを見せた。さまざまな工夫を施すことでレギュラーポリエステル使いよりも柔らかく仕上げた。サステイナビリティーシリーズは40~50品番をそろえたが、今後は毎シーズン10品番ずつ増やす。

 同社の強みは、デザインから生産、染色・整理、検品、補修まで一貫で管理していること。必要な場合は縫製工場に出向いて補修を行っている。これらが好評を博し、毎回新規顧客獲得につながっている。今回のブースへの来場も「前回よりも多かった」。

 PTJで毎回大きなブースを構え、新作加工を披露する鈴木晒整理(浜松市)の今回の目玉は、衣類の黄ばみを抑制する「エターナルホワイト」加工だ。

 シャツなどは着用を繰り返せば洗濯しても黄ばんでしまうことが多い。黄ばみはなかなか取ることが難しく、捨ててしまうケースが多い。サステイナブルの観点を交えて「シャツを長く着られるために」開発したのが同加工。薬剤の工夫により黄ばみの発生を大きく抑制する。洗えば皮脂汚れが落ちる防汚性能も共存させている。

 その他にも、人気の防シワ加工「クリーズケア」、米胚芽油、シルクプロテイン、ビタミンEといった自然由来成分を主原料とし、起毛後の生地に、より自然な膨らみを付与する「ナチュラル・エアリー」などを披露した。