特集 スクールスポーツウエア(4)/スクールスポーツ事業インタビュー/22年入学商戦に向けて/トンボ/明石スクールユニフォームカンパニー

2021年12月09日 (木曜日)

〈トンボ/取締役 営業統括本部 副本部長 恵谷 栄一 氏/ピストレに新素材を追加/昇華転写は新規採用の40%超〉

  ――来入学商戦に向けた商況は。

 前期(2021年6月期)は、前年の新型コロナウイルス禍による買い控えの反動と体育着通学の推奨によって、10%近い伸び率となりました。一方、今期に入っては、上半期(21年7~12月)は前年同期に比べて2~3%減少しており、例年並みに戻っています。

 通期では、新規校の獲得と前期に持ち越した価格改正で前年同期比2~3%増の着地を目指します。

 新規校は部活マーチングを含めて10月末までに約180校が確定しています。スポーツではこれから確定する物件も多いので、最終的には新規校の獲得で前年並みを目指します。

  ――昇華転写プリントが貢献しています。

 環境配慮型商品として、無水染色による昇華転写プリントを推奨しており、採用は新規全体の40%超となっています。全面昇華から部分昇華デザインの定番商品も増やしています。部活対応では全面昇華プリントで派手めなデザインの要望が多いですね。

 昇華転写の設備については前期から大きな増強はありません。夜間に無人稼働することでプリントの生産性が40%ほど向上しており、今期はこの方法で十分な対応が可能とみています。

  ――ウオームアップウエア「ピストレ」の採用状況は。

 今期はジャージー素材での決定が多く、独自の軽量ポリエステルニット「ピステックス」使いのピストレの採用状況は全体の約30%となっています。

 ピステックスではこれまで、撥水(はっすい)、裏起毛、制電、寒冷地向けの肉厚起毛、軽量性と吸汗速乾性を高めた生地の5種類で展開をしてきましたが、このほど新たに感性と質感を高めたシャドーストライプ柄を開発しました。摩擦、防融機能を強化した生地も新たに開発しており、トータル7種類での提案を進めています。

  ――設備投資は。

 縫製のトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)で、ヘルスケア商品とハーフジップの体操服、タイツを3ラインで生産してきましたが、今期にポロシャツのラインを追加し、4ラインで稼働しています。

〈明石スクールユニフォームカンパニー/営業本部 スクールスポーツ部長 前田 健太郎 氏/「デサント」累計2100校へ/「アスリッシュ」と2本柱で販売好調〉

  ――「デサント」ブランドの新カテゴリー、「デサントハイブリッド」が好調です。

 ストレッチ性や軽量感に加え、求められる耐久性を備えているウエアが評価されています。再生繊維を使用するなど、環境に配慮した点も採用の後押しになりました。

 同ブランドのマークは学販向けということもあり、「フィールドマーク」を使っていました。これを今年4月発売のモデルから東京五輪の競技用ウエアなどで使われている「スピリットマーク」に変更したことで認知度も向上し、採用にもつながりました。

 同ブランドとアドバイザリー契約を結ぶ、米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が今年大活躍したことも注目されるきっかけになりました。良い意味で追い風が吹いたと感じています。

 来入学商戦でも、引き続き100校以上の新規採用校の獲得が確実で、累計採用校数が2100校を突破する見込みです。

  ――自社ブランドの「アスリッシュ」はいかがですか。

 2020年の入学商戦で打ち出して以降、今までにないテイストと、他社にはないオリジナリティーという面が採用に貢献しています。毎年、私学有名校に採用されており、この点もPRにつながっています。来入学商戦では20校ほどの獲得を見込んでいます。

  ――スクールスポーツの今期(21年12月期)の見通しは。

 デサントとアスリッシュという2本柱の販売が奏功し、増収を見込んでいます。新型コロナ禍の影響で体操服での通学を許可する学校が増えたことも後押ししていますし、今夏は水泳の授業が復活してきたこともあり、水着の受注も回復しました。

 この間、性的少数者(LGBTQ)への配慮で、中学校での制服のブレザー化が加速しています。これに伴い、スクールスポーツでも中学校に提案へ行く機会が増えました。現在、中学校向けに的を射た商品の開発を進めています。今後求められることが予想される、サステイナビリティーを見据えた商品開発とともに、岡山大学と共同で研究している人工知能(AI)を使った採寸の精度向上にも力を入れていきます。