JFW―JC&PTJ(1)/12月7、8日に東京国際フォーラムで

2021年11月30日 (火曜日)

 繊維総合見本市「JFWジャパン・クリエーション(JC)2022」とビジネス商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)2022秋冬」が12月7、8の両日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催される。出展各社の展示品に加え、トレンド&インデックスコーナーの設置やテキスタイルワークショップの実施など、今回も充実した内容で来場者を待つ。JFW―JCの30回目を記念した式典も行われる。

〈記念の式典も実施〉

 JFW―JCは前身のジャパン・クリエーションから数えて第30回の節目を迎え、PTJは21回目。出展募集期間だった7、8月は多くの新型コロナウイルス感染者が出た時期だが、主催の日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)には「開催してほしい」という声が届くなど、両展への期待の高さを知ることができる。

 今回の出展規模は、JFW―JCが52件・187・9小間(昨年は47件・168・9小間)、PTJは66件・98・5小間(66件・92・75小間)で小間数はどちらも前年と比べて増えた。JFW―JCに参加する企業数は「最終的に300社を超える見込み」で、19年の水準に戻りつつあるとしている。

 毎回話題になるのがトレンド&インデックス・コーナーで、今回は「ライフスタイル」を施工テーマとした。住まいのファサードをイメージし、シナベニヤのルーバーを壁面に使い、樹木を入れ込んで爽やかな安らぎを感じる空間を構築。日常生活シーンにおける「環境・再生等と、サステイナブルを意識しよう」というメッセージを発信する。

 同時に目玉企画であるサステイナブル素材の展示コーナーのレイアウトにも工夫を施す。今年5月にスタートしたオンライン上でビジネスマッチングを促すポータルサイト「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)は使い方動画やパネル展示を行い、来場者への認知向上に役立てる。

 JTOはJFW―JC22とPTJ22秋冬の素材が加わるため、登録生地数はこれまでの2倍の約1400点に増える。来年1月にはイタリア・ミラノで開催される服地見本市「ミラノ・ウニカ」、2月には「インターテキスタイル上海」に参加する企業の素材も追加されるなど、登録企業・素材は一層充実する。

〈関連イベントにも注目〉

 業界に入って間もない商品企画従事者(職歴5年未満)を対象とした「テキスタイルワークショップ」はサステイナブルをテーマに設定した。初日は明林繊維(福井市)の宇随滋章東京支店長が、2日目は吉田染工(和歌山県紀の川市)の吉田篤生社長がそれぞれ講師を務める。

 関連プログラムでは、東京を代表する若手デザイナーを起用した「ピッグスキン・ファッションショー」(東京都、東京製革業産地振興協議会主催)を、ロビーギャラリーの特設ステージで実施する。プロと学生の作品を三つに分けて見せる。プロ部門では「ミドラ」「リコール」「タクター」が、学生部門は12校が参加する。

 JFW―JCの第30回を記念し、前回に20回を迎えながら新型コロナ禍の影響で飲食を伴うイベントが開けなかったPTJと合わせて式典を開催する。連続出展企業を表彰する予定で、JFW―JCは直近の10回に続けて参加している9社・団体が対象。PTJは21回連続の9社と直近10回に続けて出展している11社を表彰する。

 新型コロナ禍は落ち着きを見せているものの、感染防止対策は徹底する。完全事前登録制や検温・消毒の実施、看護師の常駐、ソーシャルディスタンスが確保できる展示・通路といった策を講じる。入場者数制限(出展者、関係者、来場者含め1250人)も設ける。

〈JFWO 事務局長 古茂田 博 氏/サステイナブル関連充実〉

 新型コロナウイルス禍が落ち着きを見せ、直接生地に触れられるリアル展に改めて注目が集まっている。各種展示会もにぎわいを取り戻しつつあるが、その中でも繊維・ファッション業界で欠くことができない一大イベントと言えるのが「JFW―JC」「PTJ」だ。古茂田博事務局長に今回の見どころなどを聞いた。

  ――リアル展の意義や重要性はどの辺りにありますか。

 新型コロナ禍によって展示会は中止や延期を余儀なくされてきました。対面での商談も難しくなる中、オンラインの活用をはじめ、試行錯誤が重ねられてきました。ただ、実際に商品に触れ、十分なコミュニケーションが取れる場所は繊維・ファッション業界には不可欠と言え、その場所がリアル展示会なのだと思います。

 JFW―JCとPTJへの開催要望も強く、多くの感染者を出していた7、8月にも全国の繊維企業から「絶対に開いてほしい」という声が多数寄せられました。政府や東京都の規定に従うほか、会場である東京国際フォーラムと密接に連携して、必要な感染症対策を実施するなど、最大限の配慮で開催の運びとします。

  ――今回展の見どころは。

 フィジカルとデジタルの融合による展示会の新様式を志向しているのですが、それを実現するのがオンライン上でビジネスマッチングを促すポータルサイト「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)です。今年5月に始動しましたが、日本語だけでなく、英語バージョンを作成するなど、進化を遂げています。

 もう一つは毎回注目を集める「トレンド&インデックス・コーナー」です。その中でもサステイナブル素材の展示コーナーが目玉なのですが、前回展では「少し分かりにくい」という声が出ました。今回は文字を大きく表記するほか、色にも変化を持たせるなど、独立性の高いレイアウトを採用しています。

  ――そのほかの関連イベントは。

 7日にフォーラム(セミナー)を開催します。大きなテーマはサステイナビリティーです。豊島に勤めている人を講師に招き、新型コロナ禍における環境やサステイナビリティーの現在の状況のほか、認証などについても語ってもらう予定です。

  ――来場者数の目標はあるのですか。

 特に目標は設定していません。JFW―JCは30回、PTJは21回を迎えることができました。記念式典を開きますが、それで終わりではなく、今後も継続的に開催していくことが最大の目標であり、そのためには進化が必要です。JTOが大きなポイントと言え、認知をもっと広げたいと考えています。