「インターテキスタイル 上海21秋」展レビュー(下)/現地生産のボリューム向け好評

2021年10月18日 (月曜日)

 「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2021秋」には、国際館などに日系合繊メーカーや生地商、機械メーカーなどが出展した。現地生産するボリュームゾーン向けの生地が好評を得た。

 東レグループの東麗国際貿易〈中国〉は、商談の質を重視し入場制限を取ったところ、入場待ちの行列が連日続いた。メイン商材は、グループの差別化素材を使い、現地の協力工場で生産する織物やニット製生地のブランド「エボトゥルース」。大手カジュアルなどのボリュームゾーンの地場ブランド向けを順調に拡大している。

 東レグループで、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉も人気だった。合繊長繊維製造販売の東麗合成繊維〈南通〉と、研究開発拠点の東麗繊維研究所〈中国〉の南通グループで連携し、開発した複合構造加工糸使いの綿調パンツ地などを訴求した。

 旭化成グループは、キュプラ繊維「ベンベルグ」使いの生地を前面に打ち出した。アウター向けを中心に、ホームテキスタイル向けも提案。ベンベルグとアセテート繊維の合撚糸使いのサテン、再生ポリエステルや再生スパンデックスを組み合わせた素材などが注目された。

 南通帝人は、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」使いなどの環境配慮型生地を出展。ソロテックスは中国で知名度が高まり、大手ブランドから小口のネット通販まで採用が始まっている。

 三菱ケミカルは、代理商の益彩時尚貿易〈深セン〉と一体になって、トリアセテート繊維「ソアロン」を訴求した。ソアロンの内販は順調に回復しており、今年は新型コロナウイルス禍前の19年並みになる見通しだ。

 東洋紡STCは、日本市場で高い評価を得る春夏向け生地をメインに紹介した。抗菌機能アクリル「銀世界」やシルキータッチヤーン「綢麗」が注目された。

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、トリアセテート繊維とストレッチ性のあるポリエステル繊維の強撚糸をハイゲージで編み立てたニット製生地など、生産難度が高く、素材で差別化したファッション向けの生地を豊富に取りそろえた。

 村田機械は、渦流精紡機「ボルテックス」で生産した糸を使った生地を出展。中国市場の付加価値志向が高まる中、同機への引き合いが強まっている。

(上海支局、おわり)