「インターテキスタイル 上海21秋」展レビュー(上)/逆風を乗り越えて開催

2021年10月14日 (木曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2021秋」が9~11日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開かれた。会期の延期や来場者へのPCR検査の義務付けなどの“逆風”の中で、来場者は前回秋展に比べ減った。ただ、日系出展者が集まる「ジャパン・パビリオン」は今回も人気で、相対的に健闘した。

 ジャパン・パビリオンに出展した生地商社は、ネット通販ブランドやデザイナーブランドなど、備蓄品を求める小口の新規顧客を狙った。

 ジャパン・パビリオンの出展者の中で最も多くの来場者を集めたサンウェルは、人気のトリアセテート繊維使いや、再生ポリエステル、和紙、オーガニックコットンなどのサステイナブルにこだわった生地を打ち出した。内販は好調だが、日本製備蓄品の納期2~3週間が待てないネット系顧客が増えていることから、中国製備蓄品を強化し、短納期対応力を高めていく。

 双日ファッションは、綿使いの後染めや先染め、プリントのバラエティー豊かな備蓄品を出展。内販の売上高は、前年同期を大きく上回っている。現地での独自企画品を充実させたことが功を奏している。

 瀧定名古屋は“潮牌(モードストリート)”の流行を意識した鮮やかな色合いで、ストレッチ性や吸水速乾などの機能性を持つ生地や、リサイクルウール使いなどをアピールした。

 宇仁繊維は、レースやジャカード織物の新商品を軸に、売れ筋のシャンブレー、割繊糸使いを訴求した。中国で人気のトリアセテート繊維とポリエステルを複合した生地などが引き合いを受けていた。

 桑村繊維は、ツイル素材を中心に出展した。日系企業の合同展に出展するなどし、新規開拓を加速している。今後は沿海部の既存市場に加え、成都などの内陸都市の開拓に取り組んでいく。

 柴屋は、サテンをビンテージ調に仕上げた綿・麻、レーヨン混の生地や、高耐久素材「コーデュラ」使い、オーガニックコットンを使ったデニムなどを重点的に紹介した。

 コッカは、綿100%で独特の表面変化と、吸水速乾性に優れた塩縮加工の無地平織などを訴求した。

 クリスタル・クロスは、意匠性の高いジャカード織物をアピール。内販の売上高は、19年並みに回復している。(上海支局)