「インターテキスタイル上海」閉幕/日系出展者が健闘/延期、PCR検査で来場者減も

2021年10月13日 (水曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2021秋」が11日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で3日間の会期を終え閉幕した。1カ月半延期したことやPCR検査を求めたことが影響し、来場者は減った。「ジャパン・パビリオン」や、単独出展した東レグループは相対的に健闘した。(岩下祐一)

 今回展の出展者数は、約3300社で、前回秋展を100社ほど下回った。中国の新型コロナウイルス対策の入国規制が影響し、日本を含めた海外出展者はいずれも中国法人や代理店となった。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する「ジャパン・パビリオン」には、21社が出展。生地商社などの継続企業に加え、今年春展から出展する興和、ティーンフォン、コゼット、鈴木晒整理、数年ぶりとなるニッケグループがブースを構えた。このほか、東レグループやスタイレム瀧定大阪などが、国際館などに単独で出展した。

 中国は新型コロナ禍をほぼ抑えているとはいえ、局地的な感染発生が続いている。同展は当初、8月25~27日の予定だったが、7月後半に上海市郊外などで感染が見つかったことで、主催者は8月初旬、今回の会期に変更すると発表した。

 延期は出展者にとって逆風だった。アパレルブランドの多くは、同展の対象シーズンである22年秋冬の企画を9月に終えるところが多く、10月開催では遅い。国慶節(建国記念日)連休直後の週末と重なったことも悪材料だった。さらに主催者が開催直前に、48時間以内に受けたPCR検査の陰性証明書の取得を入館者全員に求めたことが、追い打ちとなった。

 ただ主催者には選択肢がほとんどなかった。中国が威信をかけて開く「中国国際輸入博」が11月初旬に控えており、再度の延期は難しかった。そのため、結果的に延期やPCR検査の強制が客足に響いたが、出展者のほとんどが「中止よりもまし」「PCR検査を課したことで、来場者が精査され、質が高まった」と好意的に捉えていた。

 圧倒的な集客力で同展の目玉となっているジャパン・パビリオンも、前回秋展や今年春展に比べ、客足は全体的に低調だった。ただサンウェルやコゼット、アイリスなどの一部は、例年以上の来場者を集めた。東レグループの東麗国際貿易〈中国〉も、入場待ちの行列が途切れなかった。「(来場者数は)いつもの8掛け」というジャパン・パビリオン出展者もあったが、ジャパン・パビリオン以外では「半分ぐらい」(江蘇省の織物メーカー出展者)と大幅に減ったところが多く、健闘したと言える。

 今回展では、新型コロナ禍を背景に世界的に高まるホームウエア需要や、スポーツテイストのトレンドに対応したストレッチ素材使いの生地が目立った。「柔らかい素材が多かった。スパンデックスの混紡率が高まっている」と、ある日系合繊メーカー関係者は話した。

 ジャパン・パビリオンでは、瀧定名古屋が“潮牌(モードストリート)”の流行を意識した鮮やかな色合いで、ストレッチ性や吸水速乾などの機能性を持つ生地を打ち出した。豊島は、布帛調高伸縮丸編み素材「ワンダーシェイプ」の備蓄機能を訴求。モリリンも、ストレッチ性やイージーケアなどにこだわったスポーツ向けニット製生地をアピールした。