柴屋/顧客提案改めて強化/サステ商材充実して

2021年09月30日 (木曜日)

 生地商社の柴屋(大阪市中央区)は新型コロナウイルス禍からの反動増を狙い、顧客提案を改めて強化する。年末にかけて四つの展示会に参加して新規顧客獲得を狙うほか、「需要が高まっている」(奥野雅明社長)としてサステイナブル商材を充実させる。

 10月18~20日に東京ビッグサイトで開かれる「サステナブルファッションEXPO」に初出展する。ここでの重点商品はヒットシリーズの「天日干し」。染色工程を経た生地を乾燥機にかけず実際に天日で自然乾燥させた生地で、これまでは「静岡県・遠州灘で干す」ことをうたい文句にしてきたが、今回は山梨県で天日干ししたバージョンも追加する。その他、再生ポリエステル、再生ナイロン、オーガニックコットン使いの生地などを出品する。

 サステイナブル商材としてはその後も、バナナ、竹、パイナップルを綿と混紡した糸を使った生地などもそろえていく。

 10月には中国の「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」に出展し、回復基調に乗る中国市場向けのさらなる拡大を狙う。

 11月には大阪、東京で個展を開き、12月には東京国際フォーラムで開かれる「プレミアム・テキスタイル・ジャパン」(PTJ)展に出展する。

 奥野社長は「展示会は新規顧客獲得のため」と言い切る。PTJでは名刺交換枚数にこだわり、その後のフォロー営業に活用。こうしたサイクルを続けてきたことが近年の業績拡大に貢献していた。今期は新型コロナ禍で「さすがに新規獲得のペースは以前と比べて鈍化している」が、国内外展示会への積極的な出展を通じ、新規獲得を元にペースに戻していく。

〈今期ここまで微減収/輸出は米、中で回復傾向〉

 柴屋の今期(2022年1月期)ここまでの売上高推移は、前年同期比でやや減収ながらも一昨年の同時期は上回る。期初に見込んでいた10%減収と比べると大きく上振れしている。

 前年同期は新型コロナウイルス特需として切り売り市場向けにガーゼ生地や抗菌・抗ウイルス生地を大量に販売した。今期この特需はほぼ消えたが、主力のファッション分野でレディース向けの販売を拡大させるなど健闘し、微減にとどめている。

 一時激減していた輸出も徐々に回復。欧州向けはまだ元気がないが、米国向けや中国向けは回復が顕著という。

 通期売上高は前期の23億円7千万円を上回る24億円を見込むが、8月単月がかなり低調だったことなどから下振れする可能性もあるとする。