東レ・デュポン/アラミドのプリプレグ展開/スポーツ用途や産業資材へ

2021年09月02日 (木曜日)

 東レ・デュポンは、パラ系アラミド繊維「ケブラー」でプリプレグ(強化プラスチック成形材料)の展開を始めている。炭素繊維プリプレグと比べて耐衝撃性などに優れており、スポーツや産業資材用途を中心に提案を強める。事業の柱の一つにする方針で、ケブラー販売全体の10~20%に育成する。

 ケブラーの2021年度の販売は、前年を大きく上回る水準で推移している。全体の6割強を占める自動車向けがけん引役となるなど好調で、「年間では19年度の実績と比べて10%の増販を見込んでいる」とした。今後は自動車をはじめ“伸びている”分野を継続強化すると同時に、高付加価値化で成長を目指す。

 その一環として取り組んでいるのがプリプレグの販売だ。耐衝撃性に優れているほか、適度な柔らかさといった特徴を持っている。従来は織物(シート)での展開だったが、「昨年の夏ごろにモノ作りのめどが付き、下半期から顧客への提案とサンプルワークをスタート」した。

 スポーツ分野で訴求を開始し、レーシングカーのタイヤハウジング用途で採用が決まったほか、ゴルフシャフトや卓球のラケット、スキーストック(ポール)などにも浸透しつつあり、成果が見られる。釣りざお用途なども狙うとしている。

 スポーツ用途以外では産業資材分野の開拓も図っているとし、ドローンの“足”に使われるケースが出てきた。そのほか、第5世代移動通信システム(5G)関連の筐体(きょうたい)などにも目を向ける。現状は熱硬化性プリプレグがメインだが、熱可塑性タイプの試験も進めている。

 伸びると捉えている自動車関連では、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)をはじめとする次世代自動車の部材、各種センサーの保護部材などを攻める。耐切創性を生かした作業用手袋はクリーンルームなどで使用する低発じんタイプの需要が増え、フィラメント使いの製品の提案に力を入れる。