伊藤忠商事/学生服ECサイト本格稼働/“サイズ不安”解消に注力

2021年06月18日 (金曜日)

 伊藤忠商事の学生服ECプラットフォーム「学校生活」が今春の入学商戦から本格稼働している。“出店”した学生服販売などを手掛けるJGS(さいたま市)は、12校約3千人分を対象にデジタル採寸を行うなどの実績を収めた。来シーズンに向けて利便性、精度をさらに高めるため、両社は蓄積したデータを基に検証を進める。

 学生服や学習関連用品を扱う学校生活は、受発注から代金回収、配送手配までを全てウェブ上で完結できるシステム。主に入学準備期における保護者や学校側の作業負担軽減につながるとして、2019年に伊藤忠商事が開発に着手した。

 昨春の新型コロナウイルス感染拡大局面ではデジタル採寸の必要性が高まってきたこともあり、出店の声掛けを同時並行で実施。その過程で、学生服のサイズ感に対応できるサイズレコメンドシステムのアルゴリズムを組み込めるオンライン試着サービス「バーチャサイズ」の搭載を決めている。

 一方、JGSは独自のデジタル採寸システムを試行していたものの、学校生活のサイズレコメンドシステムが決め手となり、昨夏のサイト立ち上げ時に移行して出店。過去の採寸データを基にしたアルゴリズム構築に協力するなどして、今春の入学商戦に向けて準備を進めてきた。その結果、埼玉県内の私立校8校、公立校4校で採用され、約3千人分のデジタル採寸データの蓄積と、制服、学校関連品の販売で実績を作った。

 デジタル採寸導入前には保護者や学校側から賛否あったものの、実施後の評価は上々だと言う。来期に向けては、成長を見越した学生服ならではのサイズ感やサイト上で選択できる商品を絞り込んでいくなどの点で改良を加え、さらに利便性と精度を高めていく方針。「メーカーを問わずにあらゆる商品を販売できることが強み。既に新たな問い合わせも入ってきている」としており、全国展開も視野に入れる。

 伊藤忠商事は「マーケットインとSDGs(持続可能な開発目標)推進の観点からプラットフォームのさらなるバージョンアップに取り組んでいきたい」とし、23年には流通総額50億円規模を目指す。