「PTJ2022春夏」(1)/25、26日に東京国際フォーラムで

2021年05月20日 (木曜日)

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が主催する生地商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)22春夏」が25日に開幕する。会場の東京国際フォーラム(東京都千代田区)・展示ホールE1には、新規出展7社を含む75社(3月末時点)による新作や高付加価値商品が並び、商談の場としての役割を果たす。入場制限を設けるなど、新型コロナウイルスの感染対策にも万全を期す。会期は26日まで。

〈感染対策も万全に〉

 2020年5月に開催が予定されていたPTJ21春夏は新型コロナ感染拡大に伴う非常事態宣言の発出によって中止を余儀なくされた。11月にはPTJ21秋冬(「JFW―JC(ジャパン・クリエーション)21」併催)が行われたが、春夏展は2年ぶりに開かれることになる。

 PTJ21秋冬は東京国際フォーラムや千代田区保健所などと連携して感染症対策を取ったが、今回も万全な準備を整える。国・東京都はイベント開催条件を会場定員の半分または最大5千人までとしているが、PTJでは会場内最大同時滞留者を750人とし、その数値を超える場合は入場制限を実施する。準備日も含め看護師も常駐させる。

 PTJ22春夏の出展規模は75件、99・5小間で、前年エントリー実績の95件、124小間には届かなかった。内訳は国内が72件、96・5小間、海外が3件、3小間。渡航制限が継続されていることもあって、日本国内に代理店を持っていない海外の企業は出展を辞退した。

 ゾーン別の内訳を見ると、「織物短繊維」(コットン、麻、ウール、複合)が33件、「織物長繊維」(化合繊、シルク、機能素材、複合)が20件、「染色・後加工、プリント、刺しゅう・レース、皮革」が14件、「服飾資材、ニットファブリック、撚糸、パイルファブリック」が8件。新規出展は7社、復活出展は1社。

〈サステやJTOを前面に〉

 厳選された出展者と招待買い付け担当者による商談の場であるPTJへの期待は大きい。20回目を迎える今回展では「前回展でアピールが不十分だった」と言う「JFWサステイナブル・プロジェクト」と5月運用開始の「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)を前面に打ち出す。

 「TREND&INDEXコーナー」の施工テーマは「EARTH」。サステイナビリティーを意識して木工は多用せず、環境負荷の小さいダンボール素材を使用する。前回アピールできなかったJFWサステイナブル・プロジェクトは該当する素材を集積したトレンド「センスオブワンダー」を1番前に置く。

 今回展ではTREND&INDEXコーナー横の導線を利用して「デジタルINDEX」コーナーを設ける。ここではJTOの機能説明と告知について壁面パネルを使って行う。さらにJTO掲載各社のQRコードを並べて来場者が読み取ることで任意企業の素材が閲覧できる仕組みとし、JTO利用者を増やす。

 恒例の「テキスタイルワークショップ」は、職歴5年未満の商品企画従事者を対象に“寺子屋”をイメージしている。第2部の産地レクチャーでは、パノコトレーディングの三保真吾取締役、山陽染工の森原聰企画開発課課長が講師を務め、サステイナブルについて話す。

 三保氏は25日、森原氏は26日に登壇する。

〈JFWOテキスタイル事業統括ディレクター 川島 朗 氏/「真剣な商談の場」を提供〉

 春夏展としては2年ぶりのPTJ。緊急事態宣言下という難しい状況での開催だが、入場規制や看護師配置といった対策を実施する。商談の場として同展が持つ役割は大きく、出展者と来場者ともに期待を寄せる。JFWOの川島朗テキスタイル事業統括ディレクターにPTJの意義やポイントを聞いた。

     ◇

  ――今回のPTJの見どころは。

 持続可能な社会と地球環境の実現に向けた「JFWサステイナブル・プロジェクト」を設け、本来なら昨年5月に始動するはずでした。11月のPTJでは新型コロナウイルス対策で力を入れたためアピールが不十分でした。今回はこのプロジェクトと「JFWテキスタイル・オンラインサロン」を前面に打ち出します。

 新型コロナ禍が続き、緊急事態宣言下ではありますが、会場内同時滞留者を750人とするなど、国や東京都のイベント開催条件よりも厳しい基準を独自に設けて実施します。JFWOは、デジタルの流れを取り入れながら、フィジカルを融合した新しい展示会を作って世界に示したいと考えています。

  ――PTJの役割を改めて教えてください。

 ひと言で表現すると、出展者と来場者の双方に「真剣な商談の場」を提供することだと思います。昨年開催を断念した時も「開催してほしい」という声が少なくありませんでした。今回も問い合わせが多く、現時点(10日)で予定通りに開催することとしました。出展エントリーは前年と比べて減りましたが想定通りです。

  ――オンライン展示会も増えています。リアル展を開催する意義は。

 3月に中国で開催された「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス春21」のJFWO主催の「ジャパン・パビリオン」はすごく盛況でした。商品を紹介するだけならばデジタルでも問題がありませんが、生地は柔らかさや滑らかさ、素材感があります。実際にそれらを知ってもらうにはやはりリアル展でないと難しい部分があります。

  ――出展企業への期待は。

 新型コロナ時代にあって素材の開発が加速しています。サステイナビリティーや機能性などがポイントです。これらは新型コロナ前からあるのですが、より高度化していると感じています。見どころの一つと言えるのではないでしょうか。PTJは国内市場の活性化を図る展示会ですが、各社には海外市場も見据えて積極展開をしてほしいですね。