中外国島の中国事業/伊藤忠が資本参加へ、兼松繊維から19%譲り受け
2002年01月25日 (金曜日)
伊藤忠商事は24日までに兼松繊維との間で、尾州産地の大手毛織物メーカー中外国島(伊藤正樹社長)が中国で展開し兼松繊維が出資する毛織物事業会社「上海中外国島毛織」(董事長=伊藤社長兼任)の兼松繊維出資分を肩代わりすることで合意した。2月中旬に正式契約を結ぶ。
兼松繊維は同社が進める「構造改革」で毛糸・毛織物事業の縮小を決定。海外での事業運営の意味が薄れていたことで、中外国島に以前から株式の譲渡を申し入れていた。伊藤忠は上海での梳毛糸販売先の拡大が見込めることなどから両社の思惑が一致、中外国島のあっせんでこのほど合意に達した。
上海中外国島毛織は、中外国島が兼松(現兼松繊維)と現地との合弁で95年12月に設立。97年5月から操業を開始した中国での毛織物生産拠点。出資割合は中外国島76%、兼松繊維19%、亭林鎮対外経済発展公司5%となっている。
上海中外国島毛織は従業員115人(うち日本人管理者3人)で、スルザー・プロジェクタイル織機30台、撚糸機(リングおよびダブルツイスター)240錘などを保有。現在、4組3交替制で月間2000反を生産し、全量を対日縫製向けに販売している。
伊藤中外国島社長は第2期工事による能力倍増構想を持っており、「現在の(同社生産量の)2割から将来は半分を上海で生産したい」としている。
また、新たに資本参加する伊藤忠は、(1)上海地区で行っているドイツ紡績との梳毛糸販売事業で有力な販売先を確保できる(2)中外上海の織布スペースを対日高級婦人服縫製用に販売・利用できる(3)将来の中国現地販売で有力加工拠点となり得る――ことなどから出資を決めた。