3社の合繊機械事業統合/東レエンジニアリング、村田機械、帝人製機
2002年01月24日 (木曜日)
合繊機械メーカー大手の東レエンジニアリング(TEK)、村田機械、帝人製機は共同出資による新会社を設立し、それぞれの合繊機械事業を統合する。
新会社は「ティエムティ マシナリー(TMT)」で今年4月1日に設立し、合繊機械の販売・開発機能を付与。1年後をめどに、各社の製造機能を新会社に移管し製販一体会社とする。会長に村田純一村田機械社長、社長に兼松昭TEK常務が就任する予定だ。
統合の各社事業母体は東レエンジニアリング・繊維機器プラント事業本部、村田機械・繊維機械事業部合繊部門、帝人製機子会社の帝人製機テキスタイルマシナリー(TSTM)で、出資比率はTEK33%、村田機械34%、帝人製機33%。本社・営業部門を大阪に置き、資本金は設立時(従業員50人)が9000万円で、来年4月予定の製造機能統合時(同380人)には4億5000万円に増資する。
新会社の事業内容は合繊製造設備の開発、設計、製造、販売とアフターサービス。製造は3工場体制としTEK滋賀製作所の石山工場、TSTMの松山工場、村田機械の加賀工場の編成となる。また、各工場の製造する製品を特化。テークアップパネルとワインダーは石山工場と松山工場に、合繊機械は加賀工場にそれぞれ順次製造を集約する。
売上高は、初年度が各社受注残の販売で140億円、03年度260億円、04年度270億円を予想している。
〔解説〕
合繊機械大手3社が合繊事業統合に踏み切った背景には、世界的な合繊市況低迷に伴う設備投資減による市場の縮小がある。
東レエンジニアリングの下村彬一社長によると、世界の合繊機械販売は98年の1330億円から2年後の00年には667億円へと半減。このうち東レエンジニアリング、村田機械、帝人製機の3社の販売も600億円弱から280億円と同様に減少した。
そうした中、世界の合繊生産基地のアジアでは生産の主流が韓国、台湾から中国へ移行し、合繊機械市場は中国一極集中に近い状況。欧州メーカーを交え競争がし烈化する一方、最近では中国製の低価格機が台頭するなど、我が国の合繊機械業界を取り巻く環境は厳しくなっている。
各社はそれぞれ過剰要員、過剰設備の合理化など事業の存続を図るため改善策を講じてきたが、昨年10月の第7回大阪国際繊維機械見本市開催時に3社首脳が会った折、さらに一層の効果を上げるための踏み込んだ施策が必要との認識で一致。その実現に向け検討を進めた結果、今回の共同出資による新会社設立で基本合意に達したもの。
3社は、合繊事業の統合効果としては(1)販売・開発・設計を統合するとともに要員を合理化し機能の効率化と開発力を強化することで次世代商品や国際競争に打ち勝つ差別化商品の創出が可能(2)製造拠点・機能を統合再編することで商品統合や量的効果による製造コスト削減ができる(3)各社の海外拠点を有機的に活用しユーザーへのアフターサービスの一層の強化になる、の3点を挙げている。
このうち要員合理化については、現在3社合計の合繊繊維機械要員は1000人強だが、新会社設立時に600人に削減し、製造機能統合時に380人にする計画。商品統合では、合繊原糸製造機械のテークアップパネルやワインダーなどの生産を石山(東レエンジニアリング滋賀製作所)、松山(帝人製機テキスタイルマシナリー)の両工場に集約。また、延伸仮撚機など合繊加工機は加賀工場(村田機械)に集約し、各工場が製造する製品を特化させるとしている。
なお、新会社設立に伴い村田機械・犬山工場の合繊機械生産は停止することになる。
会長に就任する村田純一社長は、統合に関し「販売が縮小すると経費圧縮により各社の開発が鈍る。ベストのエンジニアがベストの機械を作り、ユーザーに喜んでいただく最良策だ」と語った。