旭化成 ベンベルグ事業/インド市場を改めて深耕/5月に東京でアウター展
2021年04月21日 (水曜日)
旭化成はベンベルグ事業で、2021年度は大手SPA向けの販売を伸ばすとともにインド市場へのアプローチを改めて強化することで販売量の早期回復を目指す。今年でベンベルグ工業の操業90周年を迎えたものの、大きなイベントの開催は見送り、デジタルツールによる情報発信にとどめる。
新型コロナウイルス禍で20年度、「ベンベルグ」の販売量は「リーマンショック時どころではない」(前田栄作ベンベルグ事業部長)くらいの苦戦を強いられたと言う。
特に、主力の裏地が紳士服量販店の低迷で大きく販売量を後退させたほか、現地ロックダウン(都市封鎖)の影響でインド向けの荷動きが第2四半期にかけて低調に推移したという。
21年度、裏地については「市況回復を期待できない」としており、国内では市場の推移を静観する一方、ユニフォーム用裏地の販売が堅調な中国での開発・販促を強化し21年度も中国で拡販を計画する。
中国では一昨年、大手アパレル歌力思(ガリス)とのコラボレーションを通じ、百貨店で裏地の店頭プロモーションを実施しており、今後は裏地、アウター、インナーが連携するデジタルツールによる情報発信に意欲を示している。
インド向けの販売は第4四半期からほぼコロナ前の「90%前後の水準に回復してきた」としており、引き続き民族衣装でのユーザー連携を強化するとともに、有力アパレルとの連携で洋装狙いのテキスタイル開発にも取り組む。
新型コロナ禍でこの間、展示会の開催を見送ってきたが、5月に東京で「ベンベルグアウター展」をアポイント制で開催の予定。海外展に出展する計画は今のところないものの、これまでは販社としての位置付けだった旭化成繊維イタリアで組織改正を行い、今後はブランドの発信拠点としても機能させていく。
これまでプルミエール・ヴィジョンやインターテキスタイル上海でベンベルグのサステイナビリティーを地道にPRしてきた結果、欧州連合(EU)域を中心に「サーキュラリティーをもった環境配慮型素材としての認知が広まっている」と言う。
今後は国内外においてテキスタイルでGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得する取り組みに力を入れる。