変化する中国企業の対日OEM~AFFから~/好調な通販向けに期待感

2021年03月16日 (火曜日)

 対日OEMを手掛ける中国企業が集結する展示会「AFF」(アジアファッションフェア)がこのほど、東京都内で開かれた。出展者の話からは、小ロット・短納期への対応ばかりでなく、新常態を見据えた製品供給を求められている実情が見えてきた。

(強田裕史)

 東莞市寮歩揚輝織廠は、100%日本向けに布帛とニットの製品を手掛ける。広東省東莞市に生産拠点を置く同社は「中国南部の生産地は北部と比べ、小ロットの対応力がある」と強調する。中国北部や東南アジアの生産地との差別化を打ち出し、「短納期にも応じられる強みを生かし、受注を増やしたい。生地作りからも提案していく」とアピールする。

 広州合羽坊時装は、布帛を中心にメンズ、レディース、子供服と幅広い製品を扱う。同社も対日OEMを専業とする。主にショッピングセンター向けの製品を供給するが、近年は「型数が増える一方で、一つの型当たりの枚数が減っている」と受注状況を語る。小ロット化に対応するため、大型ラインの隣に5~6人を配置した別のラインを設ける生産体制を築いた。

 広州トップスピードファッションは、150人を擁する広州の自社工場で衣料のフルアイテムと雑貨を製造する。日本向けが95%を占めるが、OEMの需要は2~3年前から減り始め、中国からの製品の仕入れ代行業などで業績をカバーしているという。そうした状況で、日本からのモノ作りの需要で増えているのがネット通販向けの衣料品だ。「大手から個人まで事業規模に関わらず、生産の引き合いが来ている」。

 煙台華億都製衣は布帛、ニットを問わずにOEMを担う。日本向けは全体の約60%とする。「昨年は最悪と言っていい状況だったが、秋以降は大手流通チェーンからの需要が増え出した」と振り返る。同社も通販向けの受注状況が順調に推移していると言うが、「品質に対する要求が厳しい」と課題を示す。

 威海厚慶進出口は、量販店向けのインナーやルームウエアも請け負うが、今展では自社工場で生産するニット製品を出品した。日本向けは80~90%で、全般的に受注状況は好調だが、同社にとっても成長分野になっているのが通販だ。「最初はごく小ロットのテスト販売用のオーダーから始まり、売れ行きを見てから段階的にロットを大きくしてオーダーを追加してくる。従来の大量生産型のビジネスとまったく異なるが、ヒット商品が生まれると大きな受注になる」と言う。

 対日OEMを手掛ける中国企業にとって、小ロット・短納期への対応はもはや必須要件と言える。通販のように生活様式の変化に伴って伸びる需要を捉える能力も問われ始めているようだ。