中国市場の最新動向 メッセフランクフルトウェビナーから(後)/備蓄機能は不可欠な要素/サンウェル 国際販売部長 川端 博士 氏

2021年01月27日 (水曜日)

 当社の中国内販は2018年度まで大きく伸びていたが、19年度は市況低迷で苦戦を強いられた。20年度は新型コロナウイルス禍の影響で前年同期比15%減の推移となっている(昨年12月初旬時点)。

 サンウェルが日本で長年培ってきた多品種・小ロット・短納期というサービス機能を中国内販事業にも導入している。中国法人では現在250品番を備蓄しており、日本品と合わせればその数は1800品番ほどになる。この数が多いか少ないかは別として、顧客からは毎日のように「新しい生地はないか」との問い合わせが入る。

 備蓄生地の数量には限界がある。この現実が中国大手ブランドとのミスマッチを引き起こすことがある。大口注文の際に数量不足に陥ることがあるという意味だ。この解消が課題だが、なかなか良い解決策が見えない。何がどこにどれだけ売れるのかなど、マーケティングや対応力を磨いていくしかない。

 製品が売れるごとに追加するというのがネット通販の特徴。ここへの対応力が生地商社の内販拡大の成否を握るのは間違いない。備蓄、あるいは短納期化は不可欠だ。

 とはいえ、この業界は最終的には人と人との商売。「あなたから買いたいのだ」と思ってもらえるかどうかが重要。中国内販において人材は非常に重要な要素である。

 アフターコロナに関連する生地ニーズの大きな変化はまだ感じないが、一つ言えるとすれば、イージーケアへの要望は確実に加速している。加えてサステイナブルといったところか。

 インターテキスタイル上海や同深センには継続出展している。両展とも出展効果は非常に高いと思う。ただし、展示会でいくら人を集めても、フォロー営業をしっかりやらない限り商売にはつながらない。最近は名刺を持たない来場者が増えた。「ウィーチャット」(メッセンジャーアプリ)を名刺代わりにしている人が多く、当社は独自でこの動きに対応した展示会システムを構築した。今は8割以上がこのシステムを使ってくれており、顧客管理ツールとしても貢献してくれている。

(おわり)