中国市場の最新動向(前)メッセフランクフルトウェビナーから/ネット通販系攻略が鍵

2021年01月26日 (火曜日)

 メッセフランクフルトジャパンは昨年12月、ウェブセミナー「中国テキスタイルウェビナー」を開いた。サンウェルの川端博士国際販売部長と本社ダイセン記者の岩下祐一支局長が生地を中心に中国市場の動向を語った。多数の要望を受け、その録画動画は現在、ユーチューブで公開されている。要旨を紹介する。

 中国に16年住み、そのうち6年を本紙上海支局で過ごす岩下支局長は、「アフターコロナの中国アパレル市場~ネットシフト加速、生地ニーズも変化~」というテーマで講演した。同支局長によれば、中国アパレル市場は新型コロナウイルス禍から力強く回復しつつあるが、その担い手は店舗ではなくネットに移っている。日本と同じく百貨店を主要販路とするアパレルが一部を除き苦戦している一方、ネット通販ブランドの多くは好調。衣料品全体では昨年8月以降、「まさにV字回復の様相」と言う。その具体例として、「アイシクル」や「JNBY」の業績回復を数値で示した。

 同支局長は新型コロナの感染拡大が実店舗型ブランドの苦戦とネット通販ブランドの台頭という中国アパレル市場の傾向に拍車をかけたと分析。今後も成長が確実視されるネット通販ブランドに生地を売り込むためには、小ロット、短納期対応がこれまでに増して重要になると指摘する。

 現地メーカーや現地日系メーカー、日系生地商社法人の多くがこの流れを敏感にくみ取り、生産の短納期化や備蓄品番の拡充などを進めている。

 ライブコマース(動画生配信)も活況を呈しており、新たな販売チャネルとして定着しつつある。

 こうした環境下、メードイン・ジャパン、あるいはメードバイ・ジャパンの生地が一層注目されていると指摘する。備蓄機能のほか、日本にしかないトリアセテート繊維や、機能素材などが注目されている。

 ただ、日系生地商社の内販事業は優勝劣敗が鮮明になっており、事業縮小や撤退も増えてきた。成功企業に共通するのは人材やサービスのローカライズと盤石な内部統制にあると見る。

 秋に開かれたインターテキスタイル上海や同深センの日本ブースは黒山の人だかりとなり、日本企業への高い注目度を示した。日系生地商社の打ち出しではサステイナブル商材と備蓄機能が目立った。