東レ/ダウンリサイクルを深化/ファスナー片の再利用も
2021年01月06日 (水曜日)
東レは、ユニクロと取り組んでいるダウンリサイクルを深化する。店頭で回収されたウルトラライトダウン(ULD)などからダウンを取り出して製品に再利用するプロジェクトで、ロス率の改善といった施策を進めて効率性を高める。ファスナー片のリサイクルやダウン分離設備の増強も検討する。
ふとんをはじめとするダウンが含まれる製品は手作業での解体が一般的だが、表地が薄くて縫製も複雑なULDは解体の難易度が高い。東レが開発したシステムでは生地やダウンの切断、撹拌(かくはん)・分離、回収が自動ででき、処理能力が向上した。作業者の負担軽減にもつながる。
ダウンを自動で分離・回収する機械は、東レグループで使用する設備の開発を担っているエンジニアリング開発センターで製造した。ラボ機ができてから1年ほど試験を繰り返した結果、いけるという手応えを持った。ダウンロス率についても当初目標の20%を達成している。
GO事業部の大川倫央GO事業第2室長は「(リサイクルであっても)従来品と同じコストと品質でなければ意味がなく、持続性がない」と強調する。そのためにロス率を10%程度にまで改善したいとするほか、東レ側で行っていた検品などをユニクロに委ねることでコスト抑制につなげる。
現状ではダウンと裁断くずに分離されるが、さらに細かく分けることができれば生地やファスナー片の再利用も可能になる。大川GO事業第2室長は、既存設備の改良か新設備開発のどちらが良いのかはまだ分からないとした上で、2021年度には「(ファスナー片などを)分離できるようにしたい」と語った。
両社の協業は、不要になったULDなどをユニクロの店頭で集め、東レのシステムでダウンを回収し、洗浄工程を経て新ダウン商品の素材として利用する。回収は2019年9月に始まり、日本国内だけで62万着集まった。リサイクルダウンを使用した商品は20秋冬物で販売が開始されている。
今の段階ではダウン分離・回収設備は国内の1台で十分としている。ただULDの国内外での販売数量を考えるとまだまだ不要品が集まる余地があると言える。国内での増設に加えて、海外拠点での設備導入の可能性も残す。