クラレトレーディング 22春夏スポーツ/安全・衛生素材で拡販/新たに「スパンドール」開発
2020年12月25日 (金曜日)
クラレトレーディングは22春夏向けのスポーツ素材で、安全・衛生に配慮した素材群を重点的に投入する。新たに開発した抗菌素材「スペースマスターAG」や消臭「シャインアップ」の販促を強化するとともに優れた衝撃吸収性能を発揮する新素材「スパンドール」でスポーツやアウトドア市場を掘り起こす。
銀練り込みで開発したスペースマスターAGによる企画提案を8月から始めたところ、「非常に引き合いが強い」(上野裕樹スポーツ部長)と言う。
別部門がユニフォームやブラックフォーマルへの販促にも取り組んでおり、安全・衛生へのニーズが高まりを見せる中、販促を強化し「シャインアップ」とともに拡販を計画する。
同社はこの間、ベトナムの生産拠点を駆使した製品OEM事業を拡大してきた。20年は新型コロナウイルス禍によって伸び悩みに転じたものの、21年以降、販売量を反転させる。
撚糸やカバリングといった現地の技術を活用するとともに、同社の高機能糸と現地調達するポリエステルとの複合企画を増やし「OEM事業の高度化を図る」。
日本国内では、サッカーやバスケットボール、野球などのプラクティスウエアなどで急速に高まっているニーズに対応するため、山形県の協力縫製工場に昇華プリントの設備を導入。来年4月から稼働させる。
クラレグループは20年からモビリティー、アグリカルチャー、スポーツ・アウトドアといった10前後のテーマを掲げるセグメントマーケティングをスタートさせている。
クラレトレーディングはスポーツ・アウトドアに参画しており、繊維や樹脂、クラリーノの3部門が来年3月に合同で「スポーツ・アウトドアオンライン展」(仮称)を開催する。同社はスパンドールやスペースマスターAG、シャインアップ、スエード調「エルモザ」、接触冷感「ソフィスタ」を出展し、新規販路の開拓を目指す。
スパンドールは衝撃吸収性に優れた樹脂を繊維化した新素材。ナイロンとエラストマーとを複合紡糸して生産している。衝撃を吸収する繊維素材というのは珍しく「各方面から注目を集めている」と言う。シューズやソックス向けの開発を急いでおり、スライディングパンツのようなウエア向けにも投入する。