三菱ケミカル/トリアセの製品を販売/素材認知向上の一環
2020年10月01日 (木曜日)
三菱ケミカルは、トリアセテート繊維「ソアロン」を使った製品(衣料品など)の販売に乗り出す。製品化による利益向上が狙いではなく、ソアロンが持つ特徴や特性の訴求が目的。消費者と直接つながることで素材認知度の向上を図るとし、電子商取引(EC)サイトを通じて展開する。
ソアロンは木材パルプを原料とする半合成繊維。原料調達からテキスタイル製造までの各段階でサステイナビリティーを担保するため、「FSC森林認証」をはじめとする各種第三者認証を取得している。環境負荷度を客観的に示すための独自プログラムも新たに設定した。
こうした取り組みや素材特性が国内外のアパレルメーカーなどに評価され、サステイナブル素材として浸透。一方で「繊維全体で見ると、トリアセテートの比率はわずかであり、消費者の認知は低い」(大坪正博繊維事業部長)とし、製品の展開で消費者との距離を近づけ、認知度を高める。
エレガントなイメージも強いソアロンだが、カジュアル製品などをそろえたい考え。実際の商品や価格帯については今後詰める。自社ECサイト立ち上げの準備に入っており、来年度にも販売を始める計画。「製品ビジネスへの進出ではなく、“コマーシャル的”な役目を果たす」と強調する。
そのほかの繊維でも製品展開を進めており、ポリエチレン繊維「ヒヤッコイ」を使用した冷感立体マスク、ウエットワイパーとして用いることが可能なナノファイバー不織布などを開発した。これらも自社素材の訴求の一環としている。