「インターテキスタイル上海20」レビュー(後)/サステ素材の訴求目立つ

2020年09月30日 (水曜日)

 「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2020秋」では、日系企業は「ファイン・ジャパン」の13社以外に、帝人フロンティアと三菱ケミカル、スタイレム、蝶理、村田機械、YKKの中国法人5社が出展した。ファイン・ジャパンの出展者同様、それぞれ多くの来場者を集めた。サステイナブル素材使いの打ち出しが目立った。

 帝人フロンティアグループの南通帝人は、開催初日と2日目の商談件数が昨年秋展を上回った。「閉館時間になっても商談が続いた」と大河原茂営業部門長は振り返る。今回展ではポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」を中心に、環境配慮型の素材使いを訴求した。

 三菱ケミカルはエコ、機能性、ファッションの切り口で、トリアセテート繊維「ソアロン」をアピール。製造拠点の富山事業所工場が森林管理を承認する制度「FSC認証」を取得していることなどを紹介した。同素材は中国で「三醋酸」として認知度を高め、採用が広がっている。

 スタイレムは今回も、同展と個展との2本柱で臨んだ。ファッション性の高い合繊混織物を豊富な製品サンプルとともに訴求した。適度なコシを残したウール・レーヨン複合の高密度織物や、ポリエステルをレーヨンでカバーリングした糸を使い、適度な光沢を表現したサテン地が注目された。

 蝶理は、取り組み先のニッターと共同でブースを設けた。機能糸「シーウール」を使った織物などを出展。同糸はリサイクルポリエステル繊維にオイスターの貝殻を組み合わせ、ウールのような感触とさまざまな機能性を持つ。台湾メーカー、誠佳科紡から提供を受け、同社が協力工場で織物にしている。

 村田機械は、渦流精紡機「ボルテックス」を訴求。同機のパートナー企業を大型パネルで紹介し、パートナー企業がボルテックス糸を使って生産した製品サンプルを出展した。

 YKKは、リサイクルポリエステルを使用した「ナチュロン」や、原着ポリエステル使いなど、環境配慮型のファスナーを前面に打ち出した。

(おわり、上海支局)