「インターテキスタイル上海」開幕/新型コロナ禍のダメージ挽回へ/日系企業約20社が出展

2020年09月24日 (木曜日)

 服地と副資材の国際展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2020秋」が23日、中国・上海の国家会展センター〈上海〉で開幕した。新型コロナウイルス禍が影響し、日系出展者は昨年秋展の半数以下の約20社にとどまる。各社は同展を通じ新規開拓を加速し、新型コロナ禍によるダメージを挽回しようとしている。会期は25日まで。(岩下祐一)

 今回展の出展者数は、20カ国・地域の約3400社で、昨年秋展(33カ国・地域の約4400社)を大幅に下回る。海外での新型コロナ流行により、中国が海外からの入国を規制していることが影響し、海外出展者が大幅に減った。日本を含めた海外出展者は、いずれも中国法人や現地代理店だ。

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)が主催する「ジャパン・パビリオン」は今回、新型コロナ禍の影響を受け、見送られたが、日系企業を集めた「ファイン・ジャパン」が設けられ、13社(サンウェル、双日ファッション、瀧定名古屋、豊島、宇仁繊維、桑村繊維、コスモテキスタイル、卓Edge、ジャパンブルー、近藤紡績所、クロップオザキ、前多、T&L)が出展した(昨年秋展のジャパン・パビリオンは32社)。

 帝人フロンティアや三菱ケミカル、スタイレムなど約5社(昨年秋展約20社)は、国際館などにそれぞれブースを構えている。

 開催初日午前中は、来場者の出足は例年に比べ鈍かった。海外での新型コロナ禍で、海外からの来場客がほぼいないことが響いているようだ。

 中国アパレル市況は厳しい。2018年後半から市況は悪化していたが、そこに新型コロナ禍が直撃し、特に実店舗型のブランドが苦戦している。一方、相対的に堅調なのがネット通販ブランド。こうしたブランドは、小ロット・短納期ニーズが大きく、日本や中国製の備蓄品を手掛ける日系生地商社各社などが開拓を強めている。

 もっとも、多くはネット通販ブランドを中心とする小口顧客が増えているものの、実店舗型の大口顧客の売り上げの落ち込みをカバーするには至っていない。そのため、今回展への出展を通じ、新規開拓を加速し、新型コロナ禍によるダメージを挽回しようとしている。

 日系出展者は今回も、備蓄品のアピールに余念がない。「(日本製備蓄品の)顧客から短納期を求められるケースがますます増えている。航空便は船便に比べ、1㍍3~5元割高だが、航空便を指定する顧客が多い」と双日ファッションの関係者は話す。

 加えて目立つのが、サステイナブル素材の訴求だ。新型コロナ禍により、環境への関心がさらに高まっていくとの期待が背景にある。

 サンウェルはトリアセテート繊維使いとともに、ポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」やリサイクルポリエステル、和紙、オーガニックコットンなどを使用する生地を出展。豊島も天然繊維の生地に廃棄食材を染料として活用する「フードテキスタイル」など、環境に配慮した加工を訴求している。