三菱ケミカル/防音用アクリル本格化へ/自動車のほか、他分野にも

2020年09月02日 (水曜日)

 三菱ケミカルの極細アクリル「サイ」の展開の幅が広がりそうだ。防音材料に混合する機能性繊維として自動車関連用途を中心に提案を行ってきたが、防音性が求められる他の領域・分野で一部扱いが進んできた。主力の自動車でも採用が近づいているとし、早い段階での本格化に期待をかける。

 サイの繊度は0・1デシテックス。一般的に繊度が細いほど防音(吸音、遮音)性能が高まるといわれており、自社の極細化技術が生かせるとして自動車防音用途への参入を図っている。0・1デシテックスクラスの繊維を安定的(商業的)に生産するのは難しいとされ、優位性が発揮できるとみる。

 自動車などの防音材として使用される繊維素材は反毛品やポリエステルが用いられることが多く、安価な印象が持たれるケースも少なくない。モーター音などの高音域からロードノイズ(走行中に発生する音)やエンジンなどの低音域まで幅広い音域の騒音に対応できるという機能面を顧客に伝える。

 わたでの販売が基本となるが、加工会社と連携して提案を行う。4、5年前にプレゼンテーションを始め、日本の自動車メーカーでの採用が期待できるところまできた。現状は1、2社で先行しており、2021、22年頃の本格販売開始が視界に入ってきたとしている。

 自動車が中心用途になるが、建築関連分野(工場やコンサートホールなど)や電気関連をはじめ、防音性が求められる分野にも販売を行っており、一部浸透してきた。将来はアクリル生産量の約半分をサイにしたいとするなど、アクリル事業の柱に育てる。