特集 染色加工(6)/機械

2020年08月31日 (月曜日)

〈日阪製作所/低浴比を実現したZR型/自動で性能を最大限に発揮〉

 日阪製作所は、生産性向上、多品種対応、環境対応など染工場からの要望が多様化する中、液流染色機のバリエーションに加え、さまざまな周辺装置を組み合わせてそれぞれのニーズに対応している。現在は特に低浴比型の液流染色機「サーキュラー CUT―ZR」、走行補正システム「ACCS」の提案を強めている。

 CUT―ZRはサーキュラーの新機種で、一度に染色できる数量を大幅に増やし、単位当たりの水使用量削減や省エネを実現した。浴比はポリエステル織・編み物で1対4~6と、前機種比で最大50%下がる。環境対応が染工場の重点課題の一つとなる中、加工生地の高品位を前提として大幅な低浴比化が図れる機種として注目されている。

 周辺装置を絡め、染工場それぞれの要望に合う提案に力を入れている。周辺装置では近年、労働環境の改善や省人化につながる走行補正システム「ACCS」への注目が高い。センサーで染色機内の走行状態を監視し、トラブルの予兆情報から染色機自身で生地走行の補正を行う支援装置で、染色から水洗いまで全工程で自動補正運転が可能となる。人手不足への対応だけでなく、染色機の性能を最大限に引き出すことにもつながる。例えば給水量や生地投入量の最適なバランスを実現し、水使用量の削減や省エネにつなげるとともに、染色機の限度を超えることによるトラブルを防いで品位・品質の安定化にも寄与する。

〈山東鐵工所/顧客に密着し課題解決へ/技術力を生かす〉

 連続式染色・仕上げ機械の総合メーカー山東鐵工所(和歌山市)は、新型コロナウイルス禍でユーザーの事業環境が厳しくなる中、より顧客に密着しニーズを探り、課題解決に向けた提案に力を注ぐ。

 新型コロナ禍もあり、設備投資意欲は減退気味だが、新商品の販売だけでなく、既存機器の改善、改良なども含め、顧客に寄り添った提案を進める。同社では技術部門の人員が半分近くを占め、さらに増強を続けている。豊富な技術陣を背景とした技術力を生かし、IoTや効率化、省エネ、超節水、省人化などをポイントに改善、改良の提案を進める。さらにアフターコロナを見据えた新商品の開発にも取り組み、来年以降の新商品発売を目指す。

 同社の染色関連機械の販売は今期(2021年2月期)前期比減収で推移。一方で、フィルムなど産業資材向け機器の販売が拡大しており、全体では前期に近い水準を確保できている。売り上げに占める、染色関連機器の比率が下がっているものの、日本の繊維産業へ貢献するという姿勢は変えない。

 今後も染色機器の販売を主力事業とするため、改めて海外市場にも打って出る。このため、2023年の国際繊維機械展「ITMA」に向けて準備を進める。染色機械を再強化する一方で、メディカルや環境などの新規分野に向けた開発にも取り組む。

〈伊藤忠システック/自動染料計測機を提案/労働環境改善で注目〉

 伊藤忠システックは、ラウワー(イタリア)の自動粉体染料計量装置「スーパーカラー」の提案を強める。粉体染料の自動調合ができ、粉じんを吸い込む可能性のある作業を無人化できるなど労働環境改善の面からも注目されている。

 染料のレシピを入力すれば、粉体染料を入れたサイロから必要な色を必要な量だけ自動で取り出し、レシピ通りに調合される。サイロには真空システムが搭載され、特許取得のスクリューと振動複合装置で、速く正確な計量を実現する。最小計量は2㌘で、0・02㌘の精度での自動調合が可能。同工程の省人化のほか、色の再現性を高めることにも寄与する。

 粉体染料を入れるサイロはニーズに応じて設置数を調整できる。標準的なサイロ数30~40(1サイロ=150㍑)だと、縦10㍍、横5㍍、高さ3㍍までのスペースがあれば設置可能。サイロごとに違う色を入れるだけでなく、使用量の多い染料を複数のサイロに入れて効率を高めることもできる。

 省人化に寄与する機種として、シェルトンビジョンの自動検反装置「ウェブスペクター」も注目されている。傷の有無や場所をモニターでチェックできる。傷を検知するカメラは要望に応じて7台まで設置でき、0・5㍉の汚れや傷も検知できる。

 自動測色装置「C―TEX」と組み合わせれば、さらなる品質向上につながる。色むらなどを自動検知し、検査データをデータベース化して次工程につなげることも可能。分速50㍍で測色できる。

〈東洋紡エンジニアリング/オムニアテックの代理店に/ボンディング加工機を提案〉

 東洋紡エンジニアリングは、オムニアテック(イタリア)の日本での総代理店として、日本市場での提案を開始している。新型コロナウイルス禍の影響で当初計画からはスケジュールが遅れている面があるが、特に機上グラビアロール洗浄システムを搭載したホットメルトボンディング機の提案に力を入れる。

 オムニアテックのホットメルトボンディング機は、3シリンダーシステム「オムニア―HM3」を搭載しているのが特徴。三つの異なるグラビアロールを備えたリボルバーにより、機台稼働中に他のグラビアロールの予熱や洗浄ができる。作業を終えるとグラビアロールを自動的に交換されるので、停台時間の短縮など生産効率の向上に貢献する。洗浄剤を複数回、再利用できるなどコスト削減にもつながる。

 オムニアテックは織物やニットの仕上げ加工機大手のフェラーログループで、テクニカルテキスタイル用の機械を幅広くそろえる。昨年7月にフェラーロ、イージー・メルト、その研究開発・試験部門であるテクスノブが協業する形で設立された。