東麗国際貿易〈中国〉/生地と糸内販で差別化加速/20年3月期は過去最高益

2020年07月03日 (金曜日)

 【上海支局】東レインターナショナルの現地法人、東麗国際貿易〈中国〉(TICH)は2020年下半期、生地と紡績糸の中国内販事業で差別化戦略を加速する。新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くが、来年に向け新しい商品も仕掛けていく。同社繊維事業の20年3月期(19年4月~20年3月)業績は、生地と紡績糸の内販がけん引し、2年連続で過去最高益を更新した。

 短繊維織物がメインの生地内販は、昨年9月の見本市「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」を機に、営業を本格化した中国市場向け素材ブランド「エボトゥルース」を軸に拡販を図る。同ブランドは、東レグループの差別化素材を使い、原綿・原糸からテキスタイルまで一貫で開発しており、透け防止、エコ・サステイナビリティー、ウール調、ストレッチ、透け防止などのテーマで開発した6シリーズをラインアップする。

 新型コロナの感染拡大前までは、「これまで世の中になかったオリジナル素材として評価され、地場大手レディースやカジュアルブランドの採用が順調に進んでいた」と石毛正幸・繊維事業部門長は話す。

 紡績糸内販は、この1、2年展示会出展を増やし、営業を強化した成果が表れ、ネット通販ブランドなどの靴下やインナー、セーター向けの販売が伸びている。東レ本体と連携した再生ポリエステル短繊維「&+(アンドプラス)」などを使ったリサイクル糸や、中わたの取り組みも始まっている。

 中国アパレル市場は、新型コロナの打撃を受け、厳しい状況が続いている。「各社の減産の影響がこれから出てくる」と石毛部門長はみる。そのため、本格的な回復を待ちながら、生地と紡績糸の差別化を進め、来年に向け、新しい商品も仕掛けていく。

 新型コロナの影響で実店舗型ブランドが苦戦する一方、ネット通販ブランドが台頭し、短納期・小ロットのニーズが高まっている。これに対しては、備蓄品を展開する生地問屋との取り組みを増やすことで対応していく。