東洋紡/早期増設を改めて強調「ザイロン」「ダイニーマ」

2001年12月14日 (金曜日)

 東洋紡の能島鐵之助取締役機能材第2事業部長は高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」、PBO繊維「ザイロン」について「今上期に入って以降2素材とも好調を持続しており、玉不足の状態が続いている」として、早い時期に増設を行う考えを改めて示した。

 PBO繊維「ザイロン」は「開発後期が終わり、本格販売の夜明けを迎えている。基盤は固まった」と強調した。

 「ザイロン」は、つるが工場に置く年産200トン設備がフル稼働中で、月によっては15~20トンの販売に達するなど「完全に玉不足にある」。とくに、防弾チョッキなど防護衣料向けの輸出が伸びており、欧米向け輸出比率は80%に達している。

 懸案の耐熱フェルト用短繊維も「まだ価格面で抵抗は強いものの、着実に伸びており、リピーターも多い」ようだが、まだ短繊維でのボリュームが見込めないこともあって、次の増設は長繊維専用機で行う予定。

 一方、高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」は00年後半から低調であったが、今上期からフル生産が続いている。「世界的に高強力ポリエチレン繊維は玉不足で、ヘルメット用織物、釣り糸、スポーツカイト用糸など撚り糸など加工品の輸出が堅調」という。

 「ダイニーマ」は生産子会社でオランダのDSM社との合弁会社である日本ダイニーマ(大津市)に年産410トンの設備をもつが、600トンクラスの増設も視野に入れて検討に入っている。

 今後は2素材とも既存用途だけでなく、ゴム補強(・ザイロン・)、コンクリート補強(・ダイニーマ・)など繊維補強複合材料での開拓が遅れているとして、同分野での商品開発などを加速させ、次の増設に備える。