素材メーカー/在宅勤務などを延長/工場は通常稼働を維持

2020年05月08日 (金曜日)

 新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた政府の緊急事態宣言が31日まで延長されたことで合繊・紡績など素材メーカーも在宅勤務の実施延長など追加対応を決めた。国内工場に関しては引き続き通常稼働を維持する。

 緊急事態宣言の延長に合わせて東レ、帝人、旭化成、日清紡ホールディングス、クラボウ、大和紡績、シキボウなどいずれも既に実施している在宅勤務や出社制限、時差出勤など対応を31日まで続ける。会合や海外出張の禁止・延期なども継続する。

 東洋紡は本社、東京支社、名古屋支社、九州営業所の全従業員を対象にした在宅勤務の期間を6月7日まで延長した。ニッケは社内の不測緊急事態対策本部がグループ全体の方針を決定する体制としており、緊急事態宣言延長への対応策をグループ企業に指示し、現状の各社対応を継続する。

 各社とも製造設備の稼働は維持しており、現在のところ生産・出荷への影響はない。ただ「事業・部門によっては多少の生産調整はある」(日清紡ホールディングス)といった声もある。

〈提案の継続が重要に〉

 緊急事態宣言延長で経済やサプライチェーン全体の停滞が続き、今後の事業運営への悪影響を懸念する声高まる。こうした中、宣言解除後に向けて提案を継続することが重要との指摘がある。

 緊急事態宣言が延長されたことで「全世界的な経済活動の低迷」(東洋紡)「関係先各社の事業活動制約による業績への影響や取引先の経営不安による製品・商品の供給不安定や信用状況の悪化」(帝人)、「国民全体の行動自粛による総需要の減少」(大和紡績)、「小売休業など経済活動停滞で得意先の資金繰り悪化」(シキボウ)などへの不安が高まっており、業績への悪影響を懸念する声も高まる。

 こうした中、今後の対策として在宅勤務でもテレビ会議などを活用して国内外の生産拠点との連携を確保し、品質維持や営業活動の継続が必要との指摘は多い。「テレワーク期間中でも新提案を継続し、自粛解除後の迅速な商品供給」(大和紡績)が重要になる。

 また、「グループ全体で危機に応じた財務対応を講じ、経営に支障が生じないよう手配している。一方、外出を控えるという環境下で業容が拡大しているビジネスもある」(ニッケ)と言うように財務対応力や事業多角化によるリスク分散力が問われることにもなりそうだ。