藤井撚糸/PP紡糸機増設で生産性向上/国内での供給体制維持も背景

2020年04月08日 (水曜日)

 カーペット向け糸加工の藤井撚糸(三重県四日市市)はポリプロピレン(PP)の溶融紡糸機を1台増設し12月から稼働を始める。生産性を高め高品質なPPの糸を供給することが狙い。国内でのPP糸生産を維持することも背景にある。

 ドイツ・ノイマーク社製の最新機種を導入し、既存の設備と合わせてPPの紡糸機は2台体制となる。新たな設備によって年間2千㌧だった生産量は2500㌧に増える見通し。人員も増強して対応に当たる。既存設備は主に開発用として活用する。

 PPの紡糸については、三菱ケミカルが9月末をめどにPP長繊維「パイレン」のカーペット汎用糸の製造・販売をやめることが判明している。藤井撚糸の藤井由幸会長兼CEOは「一度生産が海外へ流れてしまうと、再び日本で生産することは難しくなる。国内での供給力を維持していきたい」と述べる。

 今期(2021年3月期)は減収増益を見込む。同社はタイルカーペット向けを主力としており、今後は東京五輪・パラリンピックで着工が遅れていたオフィスビルの建設が進み、タイルカーペットの需要も維持すると見る。現状では新型コロナウイルスの感染拡大による影響もそれほど受けていないという。

 前期にはナイロン糸にエアー加工を施すインターミングル機を2台増設、2台更新した。現在は計41台(218錘)保有する。同社は国内のカーペット用ナイロン糸加工量の約45%のシェアを持ち、国内では最大手となる。