大和紡績/3事業の融合と深耕を推進/マスク、除菌で増産体制

2020年04月06日 (月曜日)

 ダイワボウホールディングスは1日付で傘下の事業会社5社を中間持株会社である大和紡績に統合した。繊維事業を担う中核事業会社として再出発した大和紡績の斉藤清一社長は「繊維の複合事業体として合繊、産業資材、製品・テキスタイルの3事業の融合と深耕を推進する」と強調する。新型コロナウイルス感染拡大で社会的要請が高まっているマスク、除菌製品向け原綿・不織布の増産体制を敷く。

 統合後の大和紡績は合繊わた・不織布の合繊事業、カンバスや資材用織物などの産業資材事業、衣料・寝装・生活雑貨用糸・生地・製品の製品・テキスタイル事業で構成する。斉藤社長は「3事業が複合的に組み合わさった事業体として、それぞれの事業領域を深掘りするのが基本戦略」と話す。その軸になるのが特徴のある原料や加工技術を活用した“ファイバー戦略”。「3事業をファイバーで横串を通し、有機的に結合させる」と話す。

 特にサステイナビリティー(持続可能性)やSDGs(持続可能な開発目標)の要求への対応は一段と重要になるとして、生分解性ポリプロピレンの開発に取り組むほか、ポリ乳酸(PLA)繊維、グループ会社であるダイワボウレーヨンのレーヨン短繊維など生分解性繊維を3事業で積極的に活用する。CCI国際綿花評議会が認証する「コットンUSAマーク」認定サプライヤーとして綿の利用も不織布や産業資材用途に拡大する。

 海外拠点の拡充も進める。複数の子会社があるインドネシアと中国に統括機能を持つ法人の設立を検討するほか、従来は製品・テキスタイル事業の情報収集を行っていた米国ニューヨーク事務所も新たに不織布やフィルターなどに関する情報収集機能を持たせる。

 一方、新型コロナウイルス感染の世界的拡大を受け「当面、事業の先行きは予想不可能になっている」との懸念も示す。そうした中、マスクや除菌製品向けの原綿・不織布の注文が急増している。斉藤社長は「社会的要請に応えなければならない。9月ごろまで増産体制を敷く」と話す。