柴屋/海外で「SHIBAYA」が浸透/輸出拡大に確かな手応え

2020年03月30日 (月曜日)

 生地商社の柴屋(大阪市中央区)が海外市場で認知度を高めている。欧州や中国の衣料品・雑貨アパレルから「SHIBAYAの織ネームが欲しい」との要望が寄せられ、ダブルネームで店頭に並ぶケースが増えているという。模倣品も現れた。

 同社はパリの「プルミエール・ヴィジョン(PV)・ファブリック」や上海の「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」などの海外展に継続出展するほか、契約エージェントがイタリアやスペインで主催する展示会に積極参加するなど海外顧客開拓を進めてきた。

 英語が話せるスタッフも拡充して輸出拡大戦略を加速。これにより直接輸出の売上高は近年、右肩上がりだった。2020年1月期の同事業売上高は前期比横ばいだったが、奥野雅明社長は今後も伸ばせると自信を見せる。海外ブランドで同社の織ネームやタグを求める声が高まるなど認知度が急速に高まっていることがその自信の背景にある。

 欧州のアパレルブランドから要望されて「SHIBAYA」の織ネームを作製、提供したところ、店頭に当該ブランドのロゴとSHIBAYAのロゴの両方が貼付された製品が並んだ。こうした例が幾つかあると言う。欧米や中国のブランドでは日本製生地使いを消費者にアピールする動きが以前からあるが、生地提供者の社名そのものがブランド化に至るケースはそう多くない。

 中国では帽子を製造販売するブランドに柴屋の織ネームが採用され、こちらもダブルネームで店頭販売された。さらに、それを模倣して無断でSHIBAYAのロゴを貼付する帽子メーカーも現れた。これについては「抗議し、取りやめてもらった」が、奥野社長は「無断使用は問題だが、それだけ当社の認知度が高まったということでもある」とし、さらなる輸出拡大に手応えを示す。

 5月中には全ての言語に対応した自社ウェブサイトも開設する。

〈20年1月期は増収営業増益〉

 柴屋の2020年1月期単体決算は、売上高が23億円(前期比3・1%増)、営業利益が2600万円(116・9%増)、純利益が2300万円(30・3%減)だった。

 売り上げは、製品が1億5千万円で微減、生地の直接輸出が2億円で横ばいだったものの、国内生地販売は新規顧客開拓が進んで伸びた。製品の微減は納入時期が延期になったことが理由。生地輸出は欧州向けが増加、中国向けが横ばい、米国向けが減少した。

 純利益の減少は税金支払いや東京営業所の改装などが影響した。

 今期も業績拡大計画で臨んだが、新型コロナウイルスの影響が読めないため、「おそらく期中で下方修正が必要」(奥野雅明社長)としている。